日本大百科全書(ニッポニカ) 「キク科」の意味・わかりやすい解説
キク科
きくか
[学] Asteraceae (Compositae)
双子葉植物合弁花類。大部分は多年草であるが、一年草から30メートルを超す高木まである。およそ1000属、2万種からなり、その分布域は南極大陸を除く全世界に及び、海浜から高山の積雪線に至るあらゆる環境に生育している。日本には72属、約370種知られている。多数の小花が頭状の花序に密に集まり、周囲の総包葉片とともに頭花を構成する点がキク科の特徴である。科名のCompositaeはラテン語で「各種の要素からなる」という意味で、頭花の構造に由来している。各小花は基本的にいずれも雄しべと雌しべを備えた子房下位の両性花で、一般にいう1個の花に対応するが、小花自体がさまざまな形をとるうえに、頭花を構成していることによる分化(中心花と周辺花)が加わり、形や性の点で多様である。雄しべは1輪、縦長の葯(やく)が互いに癒合し、雌しべを取り巻いた集葯雄蕊(ゆうずい)である。葯の内側に放出された花粉を下から伸びてくる雌しべが押し出し、自家受粉を避けている。頭花を構成する小花がすべて両性の舌状花からなり、植物体に組織としての乳管の発達するタンポポ亜科と、頭花を構成する小花がかならずしも両性の舌状花のみとは限らず、乳管の発達しないキク亜科とに大別される。前者は、葉や茎をちぎると白い乳液が出る。キク亜科ではマルバダケブキなど、大部分の頭花は周辺花が雌性の舌状花で、中心花は両性の管状花であるが、アザミ、ヨモギ、フキなどのように舌状花を欠くものや、イズハハコ(ワタナ)のように周辺花が雌性の糸状花になるものなどあるので、13のグループに大別する。
[小山博滋 2022年2月18日]
APG分類でもキク科とされる。この分類による2018年のデータでは世界に約1000属2万4000種以上あるとされ、日本には73~77属400種ほど、帰化種も200種ほどある。栽培種も多い。
[編集部 2022年2月18日]