マンキウィッツ(読み)まんきうぃっつ(その他表記)Joseph L. Mankiewicz

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンキウィッツ」の意味・わかりやすい解説

マンキウィッツ
まんきうぃっつ
Joseph L. Mankiewicz
(1909―1993)

アメリカの映画監督脚本家、プロデューサー。ペンシルベニア州ウィルクス・バールに生まれる。新聞社の特派員時代にベルリンで映画字幕の翻訳を行う。1929年帰国とともにハリウッド入りし字幕や脚本を担当、1936年からMGMで製作者として『激怒』『フィラデルフィア物語』などを手がける。1946年から監督に進出、『三人の妻への手紙』(1949)、『イヴの総(すべ)て』(1950)で2年連続アカデミー監督賞・脚本賞を受賞、知的なユーモアと辛辣(しんらつ)な皮肉、卓抜した脚本構成による人間観察で独特の作風を展開した。ほかに『裸足(はだし)の伯爵夫人』(1954)、『野郎どもと女たち』(1955)、『クレオパトラ』(1963)、『三人の女性への招待状』(1967)、『探偵スルース』(1972)などがある。

[宮本高晴]

資料 監督作品一覧

バックファイアー Backfire(1946)
呪われた城 Dragonwyck(1946)
記憶の代償 Somewhere in the Night(1946)
ボストン物語 The Late George Apley(1947)
幽霊と未亡人 The Ghost and Mrs. Muir(1947)
三人の妻への手紙 A Letter to Three Wives(1949)
他人の家 House of Strangers(1949)
復讐鬼 No Way Out(1950)
イヴの総て All About Eve(1950)
うわさの名医(ピープル・ウィル・トーク) People Will Talk(1951)
五本の指 5 Fingers(1952)
ジュリアス・シーザー Julius Caesar(1953)
裸足の伯爵夫人 The Barefoot Contessa(1954)
野郎どもと女たち Guys and Dolls(1955)
静かなアメリカ人 The Quiet American(1958)
去年の夏 突然に Suddenly, Last Summer(1959)
クレオパトラ Cleopatra(1963)
三人の女性への招待状 The Honey Pot(1967)
大脱獄 There Was a Crooked Man(1970)
探偵スルース Sleuth(1972)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンキウィッツ」の意味・わかりやすい解説

マンキウィッツ
Mankiewicz, Joseph L.

[生]1909.2.11.ペンシルバニア,ウィルクスバレ
[没]1993.2.5. ニューヨーク,マウントキスコ
アメリカ合衆国の映画プロデューサー,監督,脚本家。多くの著名なハリウッドスターを演出し,ベティ・デービス,ハンフリー・ボガート,マーロン・ブランドなど,才能のある俳優を名演に導く映画監督として定評があった。20歳になる前に,『シカゴ・トリビューン』紙のベルリン支局で特派員として働いたのち,ドイツの映画会社ウーファ UFAで英語字幕翻訳の仕事についた。1929年ハリウッドで映画脚本家として活躍していた兄ハーマンの紹介により,トーキー映画に字幕をつける仕事を始めた。1934年に監督業を目指してメトロ=ゴールドウィン=メイヤー MGMへ移籍したが,ルイス・B.メイヤー会長に勧められてプロデューサー職を務め,フリッツ・ラング監督の『激怒』Fury(1936),ジョージ・キューカー監督の『フィラデルフィア物語』The Philadelphia Story(1940)などの傑作を手がけた。1943年,20世紀フォックスへ移籍し 1946年に『呪われた城』Dragonwyckで監督デビューを果たす。『三人の妻への手紙』A Letter to Three Wives(1949)およびデービス主演の『イヴの総て』All About Eve(1950)でアカデミー賞監督賞に輝いた。1952年にフォックスを離れ,フリーランスとなった。1963年,制作が難航していた『クレオパトラ』Cleopatraの監督をルーベン・マムーリアンから引き継いで力を注いだが,ハリウッド史上屈指の巨額の制作費を投じた失敗作となり,監督の経歴に傷がついた。1972年に『探偵スルース』Sleuthでみごとに返り咲き,再びアカデミー賞監督賞候補になった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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