マントルピース(読み)まんとるぴーす(英語表記)mantel

翻訳|mantel

デジタル大辞泉 「マントルピース」の意味・読み・例文・類語

マントルピース(mantelpiece)

暖炉き口の周辺部分。また、暖炉の上部の飾り棚。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「マントルピース」の意味・読み・例文・類語

マントルピース

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] mantelpiece )[ 異表記 ] マンテルピース 洋室の壁につくりつけた、装飾的な暖炉。また、その上の飾り棚。
    1. [初出の実例]「煖炉縁(マンテルピース)の上、隅なる三角棚の上には」(出典:不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マントルピース」の意味・わかりやすい解説

マントルピース
まんとるぴーす
mantel
mantelpiece

暖炉の焚(た)き口の上部、周辺に設けられる装飾をいう。西洋の暖炉は、日本の床の間のような精神的意味をもつ室内装飾の中心であるため、各時代に応じた様式でデザインされた。初期の暖炉は煙突壁面から突き出していたので炉と煙突の両者が装飾され、頂部に破風(はふ)を設けて重厚にデザインされた。装飾はおもに大理石石造レリーフ、柱型が用いられた。煙突が壁内部に設置されるようになると、上部は壁の一部としてデザインされ、鏡、絵画などが装飾として用いられるようになった。さらにのちには、時計、ろうそく台などの調度品が装飾として利用されるようになり、それらを置く飾り棚が設けられ、いわゆる壁付き暖炉の形式が完成する。したがって現在では、この飾り棚を含む焚き口周辺部をマントルピースとよんでいる。

[吉田治典]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「マントルピース」の意味・わかりやすい解説

マントルピース
mantel
mantelpiece
mantlepiece

暖炉の炉の上部・側面を囲むかたちで壁面に設けられる飾枠。木,煉瓦タイル,石,大理石等で造られ,室内の重要な装飾要素となる。上部には炉棚mantelshelfが設けられ,ここに陶器や美術品,写真,置時計などを並べることが多い。その上の壁面には装飾レリーフを施したり絵画,鏡などを飾る。マントルピースは洋室における飾棚を兼ねるもので,和室における床の間に類似した機能をもつといえる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マントルピース」の意味・わかりやすい解説

マントルピース
mantelpiece

居間やホールの壁につくりつけられた暖炉のまわりに行う装飾。のちにはそのような飾りをもつ暖炉全体をさすようになった。最初は煙を吸込むための簡単なおおいであったが,中世後期には大型の飾りがつけられ,ルネサンス期には飾り柱やなげしがつけられ,部屋の格式を示す室内装飾の重要な要素となる。バロック,ロココの各時期においても,時代の様式に応じた装飾が行われた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「マントルピース」の意味・わかりやすい解説

マントルピース

暖炉のたき口を囲む飾り。木,石,煉瓦,大理石等で造る。上部に炉棚(マントルシェルフ)を設ける。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

家とインテリアの用語がわかる辞典 「マントルピース」の解説

マントルピース【mantelpiece】

暖炉の焚(た)き口の周囲の、壁に取り付けた装飾。木・石・煉瓦(れんが)・金属などで作り、上部には棚を設けるものが多い。

出典 講談社家とインテリアの用語がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のマントルピースの言及

【煙突】より

…屋根の上に煙突がつき出されたのは,炉の上の〈おおいもの〉が屋上に延長した結果であるが,それが数世紀間も屋上に伸びなかったのは,戸外の風が強いと,煙突から逆風がはいって炉の煙を室内にはき出すためで,その防止法は長い間人々の頭を悩ました。しかし15~16世紀に室内では炉の〈おおいもの〉がマントルピースに近いものにかわり,屋上では煙突が建築物の一部として装飾されるようになり,とくにイタリアのベネチアでは,建築上の理由からでなく美学上の理由から,さまざまの煙突(とくにその先端の装飾や形)がみられるようになった。それらはいずれも,煙を煙突の先端からでなく横から出す旧式の構造であった。…

【室内装飾】より

…したがって壁炉は室内の〈位〉を決定するものとして,時代時代の好みにしたがって意匠がこらされた。またそのマントルピースは装飾品や記念品を置く好適の棚となった。イスラム世界の住宅では,室内の壁面を華麗なタイルで化粧することが愛好された。…

【暖炉】より

…この時代には,煙を煙道に導くための覆いは木造であり,そこにプラスターあるいは土を塗って耐火性をもたせていた。この部分は後に煉瓦積みとなり,覆いの部分全体が壁体の中に隠され,室内側には炉口を囲って装飾的に暖炉を構成するマントルピースが設けられるようになる。炉室fireboxの上部はただちに煙道につながるのではなく,すぼみが設けられる。…

※「マントルピース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android