改訂新版 世界大百科事典 「ミカヅキモ」の意味・わかりやすい解説
ミカヅキモ (三日月藻)
Closterium
単細胞性の接合藻類の1属で,体は細長くて両端がとがり,全体は三日月形に湾曲する。中央部にくびれはないが,体の左右の部分は半細胞と呼ばれる。葉緑体は長軸から稜線を数個放射状に突出させた形状で,半細胞に1個ずつ,計2個あり,核はそれらを連結する中央部に1個ある。ピレノイドは数個あって,長軸に沿って位置することが多い。無性生殖は細胞中央部で横分裂が起こり,2個の細胞ができることによる。分離した半細胞はそれぞれ新たに足らない半細胞をつくりだす。有性生殖では,接近した2個の体の中央部の細胞壁が破れ,内容が球状となって外方に移動して接合が行われる。接合子は休眠後に減数分裂して発芽し,新個体に成長する。池,沼,水田等に広く分布し,種類数は多い。日本では約50種が知られるが,形態が単純であるため種の同定は容易でない。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報