三日月(読み)ミカヅキ

デジタル大辞泉 「三日月」の意味・読み・例文・類語

みか‐づき【三日月】

陰暦で3日の夜に出る細い弓形の月。また、その前後の、月齢の若い月。 秋》「―や膝へ影さす舟の中/太祇
三日月形」に同じ。
[補説]書名別項。→三日月
[類語]新月上弦下弦月輪夕月立ち待ち月居待ち月寝待ち月残月有明の月弦月弓張り月半月満月望月明月名月春月朧月寒月

みかづき【三日月】[書名]

村上浪六の小説。明治24年(1891)、校正係として勤めていた「郵便報知新聞」の日曜附録「報知叢話」に連載した処女作で、読者の好評を得て著者は小説家となった。

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精選版 日本国語大辞典 「三日月」の意味・読み・例文・類語

みか‐づき【三日月】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 陰暦で、毎月の第三日の夜に出る月。その月になって三日めごろに出る細い月。新月。眉月(まゆづき)。また、広く一般的に陰暦の月末と月初め頃に出る細い月。
      1. [初出の実例]「大伴宿禰家持初月歌一首 振仰(ふりさ)けて若月(みかづき)見れば一目見し人の眉引(まよひき)思ほゆるかも」(出典:万葉集(8C後)六・九九四)
      2. 「終日有細雨。以故三日月在雲中見」(出典:蔭凉軒日録‐延徳二年(1490)正月三日)
    2. 特に、陰暦八月三日の夜の月。《 季語・秋 》
      1. [初出の実例]「三日月やあさひるいねて宵まとひ」(出典:俳諧・山の井(1648)秋)
    3. みかづきがた(三日月形)
      1. [初出の実例]「月立ちてただ三日月(みかづき)の眉根(まよね)掻き日(け)長く恋ひし君に逢へるかも」(出典:万葉集(8C後)六・九九三)
    4. 女子の眉毛の異称。みかづきまゆ。
      1. [初出の実例]「三日月を二つこそげるおしい事」(出典:雑俳・川傍柳(1780‐83)一)
    5. こづめ(小爪)」のこと。
    6. 遊里で、遊女が最初にちょっと顔を出しただけで、それ以後まったく姿を見せないこと。また、その遊女。三日月女郎
      1. [初出の実例]「さまはさんやの三日月さまよ、宵にちらりと手拭にべにのついたを見たばかり」(出典:常磐津・帯文桂川水(お半長右衛門)(1796))
    7. 紙燭(しそく)のあかりを、の形に見せるもの。〔万宝鄙事記(1705)〕
    8. 能面の一つ。怨霊(おんりょう)を表わした男面。「舎利(しゃり)」などの前ジテ、「船弁慶(ふなべんけい)」「田村」「項羽」などの後ジテに用いられる。「高砂」「弓八幡(ゆみやわた)」などの神舞物の後に替面(かえめん)として用いられることもある。
    9. 弁才船など、近世の大型荷船の艫屋形の軒にあるの形をした破風(はふ)の俗称。〔菱垣廻船歓晃丸図解略説(1911)〕
  2. [ 2 ] 葉茶壺の一つ。大名物。呂宋(るそん)壺の類で、大瘤(ふく)れが七つあり、少し傾いた姿なので、この名がある。本能寺の変で焼失。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三日月」の意味・わかりやすい解説

三日月(佐賀県)
みかづき

佐賀県のほぼ中央部、小城(おぎ)郡にあった旧町名(三日月町(ちょう))。現在は小城市三日月町地区で、市の北東部を占める。旧三日月町は、1969年(昭和44)町制施行。2005年(平成17)小城、牛津(うしづ)、芦刈(あしかり)の3町と合併して市制施行、小城市となった。『和名抄(わみょうしょう)』の郷名(ごうめい)に甕調(みかつき)とある。地域の大部分佐賀平野に広がり、わずかに北端が天山(てんざん)山地にかかる。JR長崎本線と国道34号が南部を東西に、JR唐津(からつ)線と国道203号が西部を南北に通り抜け、南端に久保田(くぼた)駅、西端に小城駅がある。開発の歴史は古く、小城炭鉱の鉱害復旧で発見された土生遺跡(はぶいせき)は、弥生(やよい)期の平地農耕集落遺跡で国指定史跡となっており、周囲は遺跡公園として整備されている。古代の条里制地割は圃場(ほじょう)整備で姿を消したが、四条、五条などの遺称地名が残る。1967年には産米集団統一栽培などで朝日農業賞に輝き、以後佐賀農業のモデル地区をなす。かつては月給制農家で知られた。北麓(ほくろく)にミカン栽培、平野部は米作のほか蔬菜(そさい)園芸や畜産などをみる。隣接する佐賀市などへの通勤者も多く、住宅団地の造成が進む。

[川崎 茂]

『『三日月町史』(1985・三日月町)』


三日月(兵庫県)
みかづき

兵庫県西部、佐用郡(さようぐん)にあった旧町名(三日月町(ちょう))。現在は佐用町の南東部を占める一地区。1934年(昭和9)町制施行。1955年(昭和30)三日月町は大広村と合併。2005年(平成17)佐用町に合併。JR姫新線(きしんせん)と国道179号(出雲(いずも)街道)が東西に走る。地域の80%が山地で、わずかに千種(ちくさ)川の支流志文(しぶみ)川などに沿って平地が開ける。江戸時代、乃井野(のいの)は三日月藩森氏1万5000石の陣屋町、中心集落の三日月は出雲街道宿場町であった。米作中心から近年ではナス、ブドウ栽培などに移り、高原牧場や観光クリ園もある。最明寺(さいみょうじ)の木造北条時頼(ときより)坐像(ざぞう)は国指定重要文化財。

大槻 守]

『『三日月町史』全7巻(1964~1983・三日月町)』

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百科事典マイペディア 「三日月」の意味・わかりやすい解説

三日月[町]【みかづき】

兵庫県西部,佐用郡の旧町。千種(ちくさ)川の支流志文(しぶみ)川に沿い姫新(きしん)線が通じる主集落は古くから因幡(いなば)街道の要地で,元禄以降陣屋町であった。地名は北条時頼が諸国行脚の際3ヵ月滞在したことに由来するといわれ,時頼ゆかりの最明寺がある。米,ブドウ,シイタケ,花卉(かき)を産する。2005年10月佐用郡南光町,上月町と佐用郡佐用町へ編入。50.19km2。3476人(2003)。

三日月[町]【みかつき】

佐賀県中部,佐賀市の西に接する小城(おぎ)郡の旧町。唐津線が通じる。佐賀平野上の水田地帯で,北部の山麓ではミカン栽培が盛ん。古代は多久方面への交通要地で,条里制遺構がある。2005年3月小城郡小城町,牛津町,芦刈町と合併し市制,小城市となる。20.53km2。1万1808人(2003)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三日月」の意味・わかりやすい解説

三日月
みかづき

兵庫県西部,佐用町南東部の旧町域。千種川の支流志文川流域にある。 1934年町制。 1955年大広村と合体。 2005年佐用町,上月町,南光町と合体して佐用町となった。地名は北条時頼がこの地に3ヵ月滞在したことに由来。中心集落の三日月は森氏1万 5000石の陣屋町,出雲街道 (国道 179号線) の要地として栄えた。果樹栽培,酪農,養鶏など近郊農業が中心。最明寺は時頼ゆかりの寺院で,国指定重要文化財の北条時頼坐像 (木造) がある。

三日月
みかづき

佐賀県中部,小城市北東部の旧町域。佐賀平野のほぼ中央にあり,佐賀市の西に接する。 1969年町制。 2005年芦刈町,牛津町,小城町と合体し小城市となる。米作が主で,ミカン,野菜も産する古くからの農業先進地域。条里制の遺構がみられる。土生遺跡 (はぶいせき) は国の史跡。

三日月
みかづき
crescent

から3日目頃の細い上弦の月をいう。日没後の西空に見え,まもなく地平線下に沈む。

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改訂新版 世界大百科事典 「三日月」の意味・わかりやすい解説

三日月 (みかづき)
crescent moon

日没後の西の空低くにかかる鎌のように細い月をいう。月は一般に朔(新月)を含む前後3日間は見えず,旧暦3日にはじめて見えることが多い。なお,新月時の月面は満月から地球がうけるよりも80倍も強い地球の照返しをうけると計算されるが,新月に近いこのころの月も地球の強い照返しのために,直接太陽に照らされない球面がほのかに青白く見える。
執筆者:


三日月(佐賀) (みかつき)


三日月(兵庫) (みかづき)

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デジタル大辞泉プラス 「三日月」の解説

三日月

日本のポピュラー音楽。歌は女性歌手、絢香。2006年発売。作詞:絢香、作曲:西尾芳彦。auの音楽配信サービス「LISMO」のCMに起用。第39回日本有線大賞最優秀新人賞受賞。2007年オリコン年間カラオケチャート第1位。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「三日月」の解説

三日月
みかずき

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
作者
村上浪六
補作者
福地桜痴
初演
明治36.11(東京・歌舞伎座)

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世界大百科事典(旧版)内の三日月の言及

【能面】より

…(3)は年齢や霊的な表現の濃淡で区別される。瘦男(やせおとこ)や蛙(かわず)は死相を表し,三日月や阿波男,怪士(あやかし)などは神性の表現に特徴がある。平太(へいた)と中将は特に武将の霊に用い,頼政や景清,俊寛など特定の人物への専用面も現れた。…

【村上浪六】より

…早く父を失い,母の手で育てられた。少年時代よりさまざまな境遇に転変の生活を送ったが,1890年《郵便報知新聞》に入社,翌91年同紙の日曜付録〈報知叢話〉に《三日月》を発表,主人公の男だて三日月次郎吉の痛快な活躍ぶりが読者に喜ばれ,幸田露伴の作かとまでもてはやされた。その後,朝日新聞社の専属作家となり,多くの任俠小説を書き,明治20年代の〈撥鬢(ばちびん)小説〉の大家と仰がれた。…

【月】より

…新月の月は太陽とほぼ同じく東の空から出て夕方西の空に入る。これから3日ほどたつと西のほうだけが輝く三日月になり,夕方太陽の沈んだ直後に西の空に見える。新月から1週間もたつと半分だけ輝く上弦の半月になり,夕方太陽が西に沈むころに南中する。…

※「三日月」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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