みか‐づき【三日月】
[1] 〘名〙
①
陰暦で、毎月の第三日の夜に出る月。その月になって三日めごろに出る細い月。
新月。眉月
(まゆづき)。また、広く一般的に陰暦の月末と月初め頃に出る細い月。
※
万葉(8C後)六・九九四「大伴宿禰家持初月歌一首
振仰(ふりさ)けて
若月(みかづき)見れば
一目見し人の
眉引(まよひき)思ほゆるかも」
※
蔭凉軒日録‐延徳二年(1490)正月三日「終日有
二細雨
一。以
レ故三日月在
二雲中
一不
レ見」
② 特に、陰暦八月三日の夜の月。《季・秋》
※俳諧・山の井(1648)秋「三日月やあさひるいねて宵まとひ」
※万葉(8C後)六・九九三「月立ちてただ三日月(みかづき)の眉根(まよね)掻き日(け)長く恋ひし君に逢へるかも」
※雑俳・川傍柳(1780‐83)一「三日月を二つこそげるおしい事」
⑥ 遊里で、
遊女が最初にちょっと顔を出しただけで、それ以後まったく姿を見せないこと。また、その遊女。
三日月女郎。
※常磐津・帯文桂川水(お半長右衛門)(1796)「さまは
さんやの三日月さまよ、宵にちらりと
手拭にべにのついたを見たばかり」
⑦
紙燭(しそく)のあかりを、①の形に見せるもの。〔万宝鄙事記(1705)〕
⑧
能面の一つ。怨霊
(おんりょう)を表わした男面。「舎利
(しゃり)」などの
前ジテ、「
船弁慶(ふなべんけい)」「田村」「項羽」などの後ジテに用いられる。「
高砂」「弓八幡
(ゆみやわた)」などの神舞物の後に替面
(かえめん)として用いられることもある。
⑨ 弁才船など、
近世の大型荷船の艫屋形の軒にある①の形をした破風
(はふ)の俗称。〔菱垣廻船歓晃丸図解略説(1911)〕
[2] 葉茶壺の一つ。大名物。
呂宋(るそん)壺の類で、大瘤
(ふく)れが七つあり、少し傾いた姿なので、この名がある。
本能寺の変で
焼失。
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デジタル大辞泉
「三日月」の意味・読み・例文・類語
みかづき【三日月】[書名]
村上浪六の小説。明治24年(1891)、校正係として勤めていた「郵便報知新聞」の日曜附録「報知叢話」に連載した処女作で、読者の好評を得て著者は小説家となった。
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三日月
みかづき
兵庫県西部,佐用町南東部の旧町域。千種川の支流志文川流域にある。 1934年町制。 1955年大広村と合体。 2005年佐用町,上月町,南光町と合体して佐用町となった。地名は北条時頼がこの地に3ヵ月滞在したことに由来。中心集落の三日月は森氏1万 5000石の陣屋町,出雲街道 (国道 179号線) の要地として栄えた。果樹栽培,酪農,養鶏など近郊農業が中心。最明寺は時頼ゆかりの寺院で,国指定重要文化財の北条時頼坐像 (木造) がある。
三日月
みかづき
佐賀県中部,小城市北東部の旧町域。佐賀平野のほぼ中央にあり,佐賀市の西に接する。 1969年町制。 2005年芦刈町,牛津町,小城町と合体し小城市となる。米作が主で,ミカン,野菜も産する古くからの農業先進地域。条里制の遺構がみられる。土生遺跡 (はぶいせき) は国の史跡。
三日月
みかづき
crescent
朔から3日目頃の細い上弦の月をいう。日没後の西空に見え,まもなく地平線下に沈む。
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みかづき【三日月 crescent moon】
日没後の西の空低くにかかる鎌のように細い月をいう。月は一般に朔(新月)を含む前後3日間は見えず,旧暦3日にはじめて見えることが多い。なお,新月時の月面は満月から地球がうけるよりも80倍も強い地球の照返しをうけると計算されるが,新月に近いこのころの月も地球の強い照返しのために,直接太陽に照らされない球面がほのかに青白く見える。【森 巧】
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三日月
日本のポピュラー音楽。歌は女性歌手、絢香。2006年発売。作詞:絢香、作曲:西尾芳彦。auの音楽配信サービス「LISMO」のCMに起用。第39回日本有線大賞最優秀新人賞受賞。2007年オリコン年間カラオケチャート第1位。
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三日月
みかずき
歌舞伎・浄瑠璃の外題。- 作者
- 村上浪六
- 補作者
- 福地桜痴
- 初演
- 明治36.11(東京・歌舞伎座)
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
世界大百科事典内の三日月の言及
【月】より
…新月の月は太陽とほぼ同じく東の空から出て夕方西の空に入る。これから3日ほどたつと西のほうだけが輝く三日月になり,夕方太陽の沈んだ直後に西の空に見える。新月から1週間もたつと半分だけ輝く上弦の半月になり,夕方太陽が西に沈むころに南中する。…
※「三日月」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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