改訂新版 世界大百科事典 「ミゾゴイ」の意味・わかりやすい解説
ミゾゴイ (溝五位)
Japanese night heron
Gorsachius goisagi
コウノトリ目サギ科の鳥。全長約50cm。頭頸(とうけい)部は赤栗色,背以下の背面は暗赤褐色で細かい虫くい模様がある。下面は淡黄褐色だが,のどと腹には暗色縦斑がある。日本の準特産種で,本州,四国,九州,伊豆諸島で繁殖する。冬季には中国南部,台湾,フィリピンなどに渡るが,南日本で越冬するものもいるらしい。本州には4月ころ渡来し,暗い山林に単独かつがいですむ。群れはつくらない。日中は休んでいることが多く,夕方や日の出前に出て,林の中の渓流や溝で餌をあさる。食物はミミズ,サワガニ,昆虫類などで,小魚もとる。巣は,大きな木の横枝の上に小枝を集めてつくり,5~6月に繁殖する。卵は白色で,1腹3~4個を産む。抱卵,育雛(いくすう)は両親が交替でする。夜間や曇天の日にウォー,ウォーと聞こえる陰気な声で鳴く。別名をヤマイボという。近縁種にズグロミゾゴイG.melanolophusがあり,八重山列島に留鳥として生息している。
執筆者:森岡 弘之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報