ミヤマトベラ(読み)みやまとべら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミヤマトベラ」の意味・わかりやすい解説

ミヤマトベラ
みやまとべら / 深山扉木
[学] Euchresta japonica Regel

マメ科(APG分類:マメ科)の常緑小低木。高さ30~80センチメートル。根はやや肥大した多肉質である。葉は3小葉からなる。小葉は質が厚く、上面に光沢があり、楕円(だえん)形で長さ5~8センチメートル。7月ころ、茎の先端に総状花序を出し、長さ1センチメートルほどの白色蝶形花(ちょうけいか)を多数つける。豆果(とうか)は楕円形で長さ約1.5センチメートル、やや肉質で黒紫色に熟し、中に大形の種子が1個ある。茨城県以西の本州四国、九州の常緑林内に生え、中国大陸中部に分布。名は、深山に生えるトベラ(トベラ科の常緑低木)という意味で、葉の形や光沢がトベラに似ていることによる。

[立石庸一 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミヤマトベラ」の意味・わかりやすい解説

ミヤマトベラ
Euchresta japonica

マメ科の常緑低木で,関東地方以西,四国,九州に分布する。高さは 60cmほどになり,葉は互生し有柄で3出複葉,小葉は長さ5~8cmの楕円形で質は厚くつやがある。初夏に,頂生の総状花序をつけ,白色の小さな蝶形花を多数開く。花は長さ 1cmぐらい,萼は杯形,10本のおしべがあり,子房には長い柄がある。豆果は広楕円形でやや肉質,黒紫色に熟し,長さ 15mmぐらいの莢となる。根にはマトリン,シチシンなどのアルカロイドを含む。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android