日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミュンスターバーグ」の意味・わかりやすい解説
ミュンスターバーグ
みゅんすたーばーぐ
Hugo Münsterberg
(1863―1916)
ドイツおよびアメリカで活躍した心理学者。ドイツのダンツィヒ生まれ。W・ブントのもとで学位をとったが、ブントの考えには反対であった。その後ハイデルベルクで医学の学位をとり、フライブルクで心理学の助教授となる。当時はアカデミックな実験心理学者であり活発な活動をしていたので、アメリカのハーバード大学のW・ジェームズの目にとまり、実験心理学担当の教授として同大学に招かれた(1892~1916)。しかし、アメリカの風土は、まもなく彼の関心をアカデミックな実験心理学から応用心理学の方向に大きく転換させた。1908年には『証人席の上で』を書き、証言の信頼性と血圧との関係を示唆したのをはじめ、1909年には『心理療法』を、1910年には『心理学と教師』を発表。また1913年には『心理学と産業能率』を、1914年には『心理学・一般的および応用的』『心理学と社会的正気』を書き、司法、医学、教育、産業、社会秩序などへの心理学の応用を提唱した。
[宇津木保 2018年11月19日]