ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミルナー」の意味・わかりやすい解説
ミルナー
Milnor, John Willard
アメリカ合衆国の数学者。1951年にプリンストン大学を卒業後,1954年に同校で博士号を取得。1954~67年プリンストン大学で,1970年からはプリンストン高等研究所 IASで研究生活を送る。1989年ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の数理科学研究所所長に就任。1962年,スウェーデンのストックホルムで開催された国際数学者会議において,微分位相幾何学(→トポロジー)に関する業績によりフィールズ賞を受賞。ミルナーは 1956年,七次元球面に通常の微分構造とは異なる構造が入ることを発見,これが微分位相幾何学の飛躍的な発展の契機となった。また,ミシェル・ケルベアとの共同研究により,球面上の微分構造全体について詳しく研究。さらに複素超曲面(→超曲面)の特異点の幾何学を研究し,ミルナーファイバー束の構造を見出した。1961年には,長年の懸案であった三角形分割の本質的な一意性についての主予想の反例を示し,1970年以降は複素力学系の研究を行なった。また,モース理論,h同境定理,特性類などに関する優れた著書により,多くの学生や研究者に影響を与えた。2011年アーベル賞を受賞した。
ミルナー
Milner, John
[没]1826.4.19. スタッフォードシャー
イギリスの聖職者,尚古学者。フランスで教育を受け帰国後聖職につき,主としてウィンチェスターで司牧につとめた。 1803年司教。ローマ・カトリックの立場から,議会によるカトリック教徒解放の方法を批判して論戦した。主著『ウィンチェスター古物史』 The History,Civil and Ecclesiastical,and Survey of the Antiquities of Winchester (2巻,1798~1801) ,『宗教論争の結末』 The End of Religious Controversy (18) 。
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