阿武川(読み)あぶがわ

日本歴史地名大系 「阿武川」の解説

阿武川
あぶがわ

十種とくさ北方物見ものみ(六二六メートル)西麓に発し、南流して阿東徳佐下とくさしも付近で方向を南西に変え、地福じふく生雲いくもの集落を経て大野おおの岳南麓付近で北に転じ長門峡ちようもんきよう渓谷を形成しながら北流、川上かわかみ村を横断して萩に至り、橋本はしもと川と松本まつもと川に分れ、その三角州上に萩の町を形成して日本海に注ぐ。全長約八二キロ、流域面積六五五平方キロでにしき川に次ぐ山口県第二の大河

おもな支流には上流から沖田おきた川・篠目しのめ川・生雲川・蔵目喜ぞうめき川・佐々連さざれ川・佐々並ささなみ川・明木あきらぎ川・立野たちの川などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿武川」の意味・わかりやすい解説

阿武川
あぶがわ

山口県北部を西流する川。山口市最北部の阿東(あとう)地区、萩(はぎ)市の南部および同市の主要部を含む範囲を流域とし、延長82.2キロメートル。本流は島根県境に近い阿武高原の嘉年(かね)盆地に発し、稲作地帯徳佐盆地を緩やかに南西へ流れ、阿武山地を深く侵食して長門(ちょうもん)峡(国指定名勝)をつくる。さらに北西流し、萩市中部で松本川と橋本川に分かれて旧城下町萩の載(の)る三角州平野を形成して日本海に入る。支流には、佐波(さば)川に争奪されて短くなった朴(ほおのき)川、直線状の断層谷を流れる生雲(いくも)川や佐々並(ささなみ)川、火山噴出で流路の変わった蔵目喜(ぞうめき)川などがあり、複雑な河系を示す。支流佐々並川に中国電力の貯水池、本流には県下最大の県営阿武川ダムがある。萩市川上に阿武川流域の生活などの資料を展示した阿武川歴史民俗資料館がある。流域ではアユ漁が盛んで、松本川河口のシロウオ漁も有名である。

三浦 肇]


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改訂新版 世界大百科事典 「阿武川」の意味・わかりやすい解説

阿武川 (あぶがわ)

山口県北部を流れる川。阿武高原の嘉年(かね)盆地に発し,旧堰塞(えんそく)湖盆の徳佐盆地を南西へゆるやかに流れ,阿武山地を横断するところに名勝長門峡をつくって北西に貫流し,萩市で松本川と橋本川に分かれ,萩三角州平野を形成して日本海に流入する。幹川流路延長82.2km,全流域面積694.8km2錦川に次ぐ山口県第2の河川。支流に中国電力の佐々並川ダム,本流の萩市の旧川上村に有効貯水量1億2150万m3の県下最大の県営阿武川ダム(1975完成)がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿武川」の意味・わかりやすい解説

阿武川
あぶがわ

山口県北部を西流して,日本海に注ぐ川。島根県境の十種ヶ峰 (とくさがみね) 北方に源を発し,萩市の市街地で松本川と橋本川に分流。全長 82.2km。上流には景勝地の長門峡 (名勝) ,中流に阿武川ダムがある。佐々並川や蔵目喜川などの支流をもち,下方浸食の激しい河川として知られる。

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