メソサウルス(英語表記)Mesosaurus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メソサウルス」の意味・わかりやすい解説

メソサウルス
Mesosaurus

アフリカ南部や南アメリカのペルム紀初期の地層(2億9900万~2億7100万年前)から化石で見つかった初期の水生爬虫類の仲間。淡水の湖や池に生息し,体長は約 1mで細長い形をしていた。細長い頭骨と尾を水中でうねうねと動かしながら,鋭くとがった長い歯で小さな甲殻類などを捕食していたとみられる。肋骨部分は長く,バナナのような形をしており,水に飛び込む際に胸郭を守る働きをしていたらしい。陸に上がることもほとんどなかったとみられる。さらに,塩分を含んだ海洋を広範囲に泳いでた可能性はないことから,メソサウルスの化石の地理的分布は,南半球大陸がかつてはつながっていたという,アルフレート・ウェゲナー大陸移動説を裏づける古生物学的証拠となった。

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改訂新版 世界大百科事典 「メソサウルス」の意味・わかりやすい解説

メソサウルス
Mesosaurus brasiliensis

ブラジルのミナス・ジェライス州の古生代二畳紀前期の地層から産出した絶滅爬虫類。全長80cmに達する。頭は細長く,吻部(ふんぶ)はとがる。細く鋭い歯が多数並び,首は短い。尾は長く,全体の半分ほどに達する。淡水性で,小魚などを食べていたらしい。南アフリカからも類似のものが知られ,ゴンドワナ大陸特有種の一つとされている。最古の水生爬虫類の一つである。ブラジロサウルスBrasilosaurusという歯の短い,首の長い種類もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メソサウルス」の意味・わかりやすい解説

メソサウルス
めそさうるす
mesosaur
[学] Mesosaurus brasiliensis

古生代ペルム紀(二畳紀)前期の、約2億9900万年~2億7060万年前に南アフリカと南アメリカにいた化石爬虫類(はちゅうるい)。全長約60センチメートル。肉食で、前・後肢にそれぞれ5本の指をもち、それらは水かきでつながっていた。長いあごには鋭い歯列を備え、小魚や小さなエビなどをとらえるのに便利であった。比較的長い頸(くび)の後ろに長い胴をもち、尾も長く平たく、上下に高くなっていた。また尾は屈曲しやすく、全長にわたり上下にひれがついていたらしく、泳ぐ動物の尾に似る。淡水の川や沼の生活に適応した形を示しており、その形態や習性および化石の産状分布から、当時両大陸がつながっていた証拠の一つに数えられている。

[小畠郁生]

『小畠郁生・加藤秀著『ひきさかれた大陸』(偕成社文庫)』

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百科事典マイペディア 「メソサウルス」の意味・わかりやすい解説

メソサウルス

ペルム紀初期の水生爬虫(はちゅう)類。体長は約1m。顎が細長く,鋭い歯をもつ。長い尾は屈曲しやすい。後肢が前肢より大きく,おそらくみずかきのついた5本の指を備える。化石はブラジルや南アフリカで発見。グロッソプテリスなどとともに,ゴンドワナ大陸復元の古生物学的根拠の一つとされた。

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世界大百科事典(旧版)内のメソサウルスの言及

【大陸移動説】より

…(1)石炭紀(約3億年前)の植物分布 たとえば,グロッソプテリス,ガンガモプテリスなどのシダ種子類の1属の化石は南アメリカとアフリカの南部,マダガスカル,インド,オーストラリア,南極大陸にわたって見いだされる。(2)二畳紀初期(2億8000万年前ころ)の淡水生爬虫類の一種メソサウルスの化石分布 南アフリカと南アメリカ南東部だけに産する。(3)現生動植物の分布 キツネザルやツパイなどの原猿類はマダガスカル島と対岸の東アフリカおよびスリランカ,インド,東南アジアに産する。…

※「メソサウルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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