メデリン(読み)めでりん(英語表記)Medellín

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メデリン」の意味・わかりやすい解説

メデリン
Medellín

コロンビア北西部,アンティオキア州州都メデジンともいう。首都ボゴタの北西約 250km,アンデスの中部山脈中,マグダレナ川水系のポルセ川が流れる小さな谷にあり,標高約 1500m。 1675年鉱業中心地として建設された古い町で,現在でも金などを輸出する。山間にあって地理的に孤立していたため,長い間発展が妨げられてきたが,19世紀に鉄道が通じると急速に発展し始め,周辺のコーヒー栽培地帯の大集散地となった。 20世紀に入ると水力発電による電力が安価に利用できたこともあって工業が発達,現在同国有数の工業都市となっており,特に繊維工業は同国の繊維生産の大半を占める。その他の主要工業は食品,木工,金属,自動車,化学,ゴムなど。工業化に伴って人口も急速に増加,現在ボゴタに次ぐ同国第2の大都市で,周辺にベヨ,イタグイ,エンビガドなどの衛星都市が形成されている。またボゴタに次ぐ文化都市でもあり,市内にはアンティオキア大学 (1803) をはじめとする多くの高等教育・研究機関,博物館,図書館,劇場などがある。市街近代化が進み,植民地時代の古い建物はほとんど残っていないが,工業都市としてはきわめて美しい町で,花の多いことで知られ,ランなどを輸出している。現在は交通要地で,鉄道が通るほか,道路が四通国際空港もある。また,コカイン密輸出の中心地となっており,国際的な問題となっているとともに,政府の取り締まりに対するテロも続出している。人口 143万 1462 (1985) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メデリン」の意味・わかりやすい解説

メデリン
めでりん
Medellín

南アメリカ北西部、コロンビア北西部、アンティオキア県の県都。住民はこの町をメデジンとよぶ。人口195万7928(1999)、254万9537(2019推計)。同国第二の大都市で、カウカ川中流域の商工業の中心地。1675年、標高1499メートルの高原に建設され、金鉱地域およびコーヒー生産地域の中心地として発展してきたが、20世紀初めに綿紡織工場が設立されてから、とくに第一次世界大戦後、急速に紡績織物の都市として成長を遂げた。コロンビアの輸出綿織物の80%以上を生産する。ほかに絹・毛織物、皮革、ガラス、薬品、農業機械、ビールなどの各種の製造業が発達している。文化施設が多く、二つの大学、鉱山大学のほか、南アメリカの動物、鳥類を多種飼育する動物園やランの収集で知られる植物園、世界最大のれんが造の教会といわれるカテドラル、郊外のウシの大飼育場は一見に値する。クリスマスには60万個以上のクリスマス・ライトがともされ壮観である。

[山本正三]

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