モザン美術(読み)モザンびじゅつ(英語表記)Mosan Art

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モザン美術」の意味・わかりやすい解説

モザン美術
モザンびじゅつ
Mosan Art

ベルギーを横断するムーズ川の中流域地方において中世に発展した美術。12世紀初頭から 13世紀にかけて,特に七宝エマイユ)と金彫,象牙浮彫,写本彩飾などが盛んに行なわれた。金彫ではリエージュのサン・バルテルミ聖堂の洗礼盤(1107~18,レニエ・ド・ユイ作),五旬節の祭壇(12世紀中頃,パリ,クリュニー中世美術館)のほか,ニコラ・ド・ベルダンのクロスターノイブルク修道院聖堂の祭壇画(1181),トゥルネー大聖堂の聖ピアトゥスと聖ニカシウスの聖遺物箱(1205)などの優れた作品がある。またドイツのケルンで活躍したゴドフロア・ド・ユイはモザンの金属工芸を国際的水準に高めた。これらの作品は,カロリング朝美術ビザンチン美術を土台とし,ロマネスク美術のなかでも,最も古代的躍動感と現実感にあふれる。次代,13世紀のゴシック古典主義様式の重要な源と考えられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android