ものもらい

食の医学館 「ものもらい」の解説

ものもらい

《どんな病気か?》


 正式には麦粒腫(ばくりゅうしゅ)といい、まぶたにある皮脂腺(ひしせん)(脂(あぶら)を分泌(ぶんぴつ)するところ)に細菌感染して化膿(かのう)した状態のことです。上下どちらのまぶたにも起こります。

《関連する食品》


〈レバー、ウナギ、緑黄色野菜などが予防効果あり〉
○栄養成分としての働きから
 ものもらいの予防には、ビタミンAをとることがたいせつです。ビタミンAには目の粘膜(ねんまく)を正常に保つ働きと、免疫力を高めて感染に対する抵抗力を強める働きがあります。
 ビタミンAには、動物性食品に多く含まれているレチノールと、緑黄色野菜に多く含まれ、体内に入ってビタミンAにかわるカロテンとがあります。
 レチノールはレバーウナギ鶏肉などに、カロテンはコマツナカボチャニンジンなどに多く含まれています。
○漢方的な働きから
 サンショウには消炎効果があり、ものもらいに効くといわれています。よく熟したサンショウの実を1週間ほど干し、1回に20粒ほど熱湯を注いで飲みます。また、ドクダミの生の葉をきざんでもみ、やわらかくしたものをガーゼに厚く塗り、患部にバンソウコウで貼(は)っても効果的です。
 化膿して大きく腫(は)れているときは、オオバコの葉を吸い出しに使います。火であぶり、軽くもんで熱いうちにまぶたに貼りつけて寝れば、翌朝、膿(うみ)がでていることでしょう。
 治ったあとは、ゴマ油を2~3滴たらしておくと、再発の予防になります。

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改訂新版 世界大百科事典 「ものもらい」の意味・わかりやすい解説

ものもらい

まぶた(眼瞼)にできる,はれを主体とする炎症性疾患の総称。この病気にかかったとき,よその家で物をもらって食べると治るという伝承からこの名がついたといわれる。おもに関東地方で使われる言葉で,地方により,メモライ,メコジキメボメバチコなど,さまざまに呼ばれる。狭義には,麦粒腫hordeolum,とくに外麦粒腫をさすと思われるが,広義には,内麦粒腫や霰粒腫(さんりゆうしゆ)も含まれる。外麦粒腫は瞼縁の皮脂腺あるいはまつ毛の毛囊部にできる化膿性の炎症であり,内麦粒腫は瞼板腺(マイボーム腺)に起こる化膿性の炎症で,いずれの麦粒腫も限局性の腫張と疼痛を伴う。治療は,抗生物質の内服,点眼,軟膏による消炎を主とするが,腫張が強い場合は切開排膿を行う。霰粒腫は,マイボーム腺の梗塞(こうそく)を出発点とする慢性の肉芽性炎症であり,麦粒腫に比べ疼痛は少ないが,弾力に富む大きなはれをつくる。これに対する治療は切開治療を原則とする。
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百科事典マイペディア 「ものもらい」の意味・わかりやすい解説

ものもらい

麦粒腫(しゅ)の俗称。まつげの毛嚢(毛包)や脂腺の主にブドウ球菌の感染による急性化膿性炎症。まぶたが赤くはれ,痛む。普通数日で自然排膿してなおる。なお,これを外麦粒腫とし,まぶたの内側の瞼(けん)板腺に化膿が起こるものを内麦粒腫ともいう。内麦粒腫は外麦粒腫よりはれは少ないが痛みが激しい。治療はサルファ剤や抗生物質の塗布または内服。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ものもらい」の意味・わかりやすい解説

ものもらい

麦粒腫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ものもらい」の意味・わかりやすい解説

ものもらい

麦粒腫」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のものもらいの言及

【目∥眼】より

…これは劣悪な栄養と過酷な労働に起因して発生した。このほか病目(やみめ),はやり目といわれる急性・慢性結膜炎,ただれ目といわれる眼瞼縁炎,星目,目星といわれるフリクテン,打目(うちめ),突目(つきめ)などの外傷,あるいはものもらい,目いぼといわれる麦粒腫,それにトラコーマ,虹彩炎,翼状片,緑内障,弱視など,江戸時代の眼病は多彩をきわめていた。また江戸時代にはおよそ7万5000人以上の盲人がいたといわれ,疫病や栄養失調のために失明し,彼らは当道(とうどう)や瞽女(ごぜ)などの集団を形成していた。…

※「ものもらい」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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