改訂新版 世界大百科事典 「ヤブレガサウラボシ」の意味・わかりやすい解説
ヤブレガサウラボシ
Dipteris conjugata (Kaulf.) Reinw.
日本では西表(いりおもて)島に生ずるが,熱帯で山地の尾根筋などの日向に群生するヤブレガサウラボシ科の常緑性のシダ。近縁のものに数種がある。根茎は親指の太さに達し,長くはい,披針形で暗褐色の硬い鱗片をつける。葉柄は1.5mに達し,硬く,基部に鱗片をつける。葉は単葉であるが,中央で2裂し,それぞれの裂片が,半分さらに半分と分かれるように深く切れ込む。葉面は大きいものでは直径80cmのやや横に広い円形となる。主脈は二叉(にさ)分岐をくり返すが,細脈は小さい網目を多数つくる。胞子囊群は小さな円形で葉の裏面いっぱいに散在し,葉脈の結び目について,包膜はつけない。葉面が深く切れ込むのを破れた傘に見立てて和名がついた。旧世界の熱帯に広く分布する。中生代に繁栄していたことが化石で示されており,古生代末には出現していたものと推定されている。
執筆者:岩槻 邦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報