ヤンバルテナガコガネ(読み)やんばるてながこがね

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤンバルテナガコガネ」の意味・わかりやすい解説

ヤンバルテナガコガネ
やんばるてながこがね / 山原手長金亀子
[学] Cheirotonus jambar

昆虫甲虫コガネムシ科に属する昆虫。沖縄本島特産で北部山地帯に産し、国の天然記念物に指定されている。体長5、6センチメートル前後の大形の甲虫。頭・前胸背面は銅緑色に光り、上ばねは黒色ですこし金属光沢を帯び、黄褐色の小紋を散らすが、雄では各はねの周辺に限られる。前胸は両側が著しく丸みがあり、縁はぎざぎざしており、背部は大点刻を備え、中央に縦のくぼみがある。雄の前脚は長く伸びて、腿節(たいせつ)下方に歯状突起があり、脛節(けいせつ)は弧状で先端に長い棘(とげ)をもつ。成虫は夏から秋にかけて現れ、幼虫は照葉樹原生林内の大木樹洞内にたまった腐植土を食べて成長する。成虫になるまで2、3年を要するといわれ、秋に洞内で蛹(さなぎ)となり、晩秋に羽化して翌夏まで洞内にとどまるが、一生洞外に出ないものもあるという。特殊な生態のため近年になって初めて発見された。同属種は中国、台湾、東洋熱帯域に産する。

[中根猛彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤンバルテナガコガネ」の意味・わかりやすい解説

ヤンバルテナガコガネ
Cheirotonus jambar

甲虫目コガネムシ科。沖縄本島のみにみられる大型のコガネムシで,雄は前肢が異常に長い。体長は雄 51~62mm,雌 48~60mm。体は分厚く,重量感を与える。頭胸部は暗青銅緑色で鈍い輝きをもち,光沢のある上翅は緑色ないし青銅色を含んだ黒色で,肩部とその付近に明るい褐色斑が散在する。前胸背側縁は半円状で,鋸歯がある。雄の前肢脛節は長く,内方にゆるく彎曲し,また先端部の端棘が長く伸びている。雌の前肢は普通の型であるが,長めである。照葉樹林内にすみ,幼虫は樹洞で生育する。国の天然記念物に指定されている。

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百科事典マイペディア 「ヤンバルテナガコガネ」の意味・わかりやすい解説

ヤンバルテナガコガネ

鞘翅(しょうし)目コガネムシ科の1種。1984年新種として記載された日本最大の甲虫。体長約50〜60mm。雄の前肢が長く湾曲する。沖縄島北部の山原(やんばる)にのみ生息し,個体数が非常に少ない。原生林の伐採によって,生息を脅かされている。国の天然記念物。絶滅危惧IB類(環境省第4次レッドリスト)。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「ヤンバルテナガコガネ」の解説

ヤンバルテナガコガネ
学名:Cheirotonus jambar

種名 / ヤンバルテナガコガネ
目名科名 / コウチュウ目|コガネムシ科
解説 / 幼虫はスダジイなどの大木のうろにたまった腐植土の中にすみます。
体の大きさ / ♂45~62mm、♀46~60mm
分布 / 沖縄島
成虫出現期 / 夏~秋

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世界大百科事典(旧版)内のヤンバルテナガコガネの言及

【コガネムシ(黄金虫∥金亀子)】より

…おもに駆瘀(くお)血剤(悪い血を出す薬)として用いられる。日本ではカブトムシよりも大きいヤンバルテナガコガネが近年になって沖縄本島で発見された。日本を原産地とするマメコガネは害虫として世界的に知られる。…

※「ヤンバルテナガコガネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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