ライター(読み)らいたー(英語表記)lighter

翻訳|lighter

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライター」の意味・わかりやすい解説

ライター
らいたー
lighter

本来は点火器具の意味であるが、今日では一般に喫煙のために用いられるシガレットライターをさす。ライターは外観によって、携帯用ポケットライターと卓上ライターに分けられるが、着火原理について差異はなく、また使用する燃料によりオイルライター(ベンジン、アルコールなどの揮発油)とガスライター(ブタン、プロパンが主成分の混合液化ガス)に分けられる。点火エネルギー面からみると、発火合金をやすり状の回転車で切削して、その火花の燃焼熱で点火させる発火車式、電池による火花放電やICによる連続放電で点火させる電池式、圧電素子に衝撃を加えて点火させる電子式の3方式に分けられる。

 歴史的にみると、ライターの原理は火打ち石で火をつける方法と同一と考えられることから、その意味では太古の時代からあったともいえる。日本でも平賀源内が火打ち石式のものを考案したという記録が残っているが、19世紀になってマッチが出現すると、火打ち石方式の点火装置は一掃された。現在のように発火装置と燃料タンクが一体化したのは、1906年にイギリスでつくられたオイルライターが最初で、これはオーストリアの化学者カール・アウエル・フォンウェルスバハが、鉄とセリウム合金を発火石に用いることを発見し、燃料にオイルを使って製品化したもので、第一次・第二次世界大戦を通じて世界中に広まった。しかしその後46年に、フランスのフラミネール社が液化ガスを燃料としたブタンライターを考案し、現在のガスライターの原型といえるものをつくっている。そして65年(昭和40)に、日本の(株)マルマンが世界に先駆けて、半永久的な着火エネルギー源をもつ電子ライターを開発し、現在に至っている。

[太田一男]

電子ライター

着火エネルギー源として、チタン酸ジルコン酸鉛などの粉末を小さな円柱状に成型し、約1000℃の高温で焼成して分極処理を施した圧電素子を使っており、この圧電体の両電極から出した導線の先端に放電間隙(かんげき)を設け、これに衝撃や押圧による歪(ひずみ)を加えると発生する高電圧を火花放電させ、ガスに着火させる仕組みとなっている。この圧電素子は、衝撃の歪を数万回繰り返してもほとんど消耗しないため、着火エネルギーは半永久的で、衝撃を与えるための力も、てこの原理を利用している。したがって、指圧片を指で押すだけで容易に火花放電させることができ、発火車や電池のようにエネルギー源の消耗による交換、補充が不要である。また燃料としては、ブタン、プロパンなどの混合液化ガスを3~5kg/cm2の圧力をかけた液体の状態でタンクに蓄えることができ、この液化ガスは、空気中に出ると気化潜熱を吸収してガス化し、容積が約300倍にもなるため、オイルなどの揮発油を使用した場合に比べて長もちする。また炎に方向性が得られ、炎の大きさも自由に操作できるなどの特長をもち、ライター自体のコンパクト化にも役だっている。

[太田一男]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ライター」の意味・わかりやすい解説

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