ラウレンチウス(その他表記)Laurentius

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラウレンチウス」の意味・わかりやすい解説

ラウレンチウス
Laurentius

教皇シンマクス在位 498~514)の対立教皇(在位 498,501~505頃/507)。5世紀末,ローマ教会コンスタンチノープルの東方教会との間に緊張が高まっていた。和解を目指した教皇アナスタシウス2世(在位 496~498)が死去すると,アナスタシウス2世の政策に賛同する首席司祭ラウレンチウスの一派と,サルジニア(→サルジニア島)の助祭シンマクスの一派が,それぞれ教皇を選出した。両派は当時イタリアを支配していた東ゴートのテオドリック大王(在位 493~526)に裁決を求め,多数の支持を集めたシンマクスが教皇に選ばれた。しかし,ラウレンチウス派は激しい抗議行動を続け,501年テオドリック大王はラウレンチウスのローマ帰還を許した。その後も混乱と両派の紛争は続いたが,505年頃,アレクサンドリアの助祭ディオスコルスのテオドリック大王への進言により,ラウレンチウスはローマから追放され,貴族フェスツスの庇護のもとに隠退した。

ラウレンチウス
Laurentius

[生]?
[没]258
古代ローマの聖人殉教者。教皇シクスツス2世の助祭で,ウァレリアヌス帝の迫害で教皇とともに殺された。教会財産を譲るように命じられ,貧民を集め,「これが教会の財産である」といって身を差出したため,火あぶりにされたという伝説は疑わしいが,その殉教を記念して,火に関係のある職業に従事する人々の守護聖人として特に祝われている。

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