リゴー(読み)りごー(その他表記)Hyacinthe Rigaud

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リゴー」の意味・わかりやすい解説

リゴー
りごー
Hyacinthe Rigaud
(1659―1743)

フランス画家。南フランスのペルピニャンに生まれる。モンペリエリヨンで絵の修業をしたのち、1681年にパリに出る。翌年ローマ賞を獲得するが、歴史画家ではなく肖像画家になるべく、イタリア行きを断念する。以後ルイ14世宮廷で活躍。同時期のラルジリエールが市民を多くモデルにしたのに対し、高位高官の肖像を描いた。バロック様式へ傾く17世紀末の傾向を反映し、ファン・ダイク風の重厚かつ豪奢(ごうしゃ)な作品を生んだ。代表作に『ルイ14世』(1701、ルーブル美術館)などがある。一方でレンブラントにも影響を受け『母の肖像』(1695、同上)のような自然主義的な作品も描いている。パリに没。

[宮崎克己]

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改訂新版 世界大百科事典 「リゴー」の意味・わかりやすい解説

リゴー
Hyacinthe Rigaud (Rigau y Ros)
生没年:1659-1743

フランスの肖像画家。ペルピニャン生れ。ラルジリエール友人でまたライバル。ルイ14世および15世の宮廷画家。1682年ローマ大賞を受賞するが,イタリアには行かなかった。《ルイ14世》(1701),《ブイヨン枢機卿》(1708)等では,豪華な衣装などにきわだった写実性を示し,モデルの高貴さをたくみに表現。《マリー・セール》(1695)では北方の,とくにレンブラントの影響も見せる。大工房を経営し,自身で完成した作品は少ない。年平均35点の肖像画を62年間も描き続けることができたのは,工房の協力によるところが大きい。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リゴー」の意味・わかりやすい解説

リゴー
Rigaud, Hyacinthe

[生]1659.7.18. ベルビニアン
[没]1743.12.29. パリ
フランスの画家。リゴーは通称。モンペリエ,リヨンで学び,1681年にパリの王立美術アカデミーに入学。師事した C.ル・ブランのすすめで肖像画家となり,ルイ 14世時代の宮廷の趣味を反映して荘厳華麗で明快な肖像画を描いた。主として4代にわたるフランス王家の肖像画を描き,またスウェーデン,スペイン,ポーランド,ザクセン王家にも仕えた。主要作品『ルイ 14世の肖像』 (1701,ルーブル美術館) ,『ルイ 15世像』 (27,ベルサイユ美術館) ,『ザクセンのアウグスト3世』 (ドレスデン国立絵画館) 。

リゴー
Rigaut, Jacques

[生]1899. パリ
[没]1929.11.5. パリ
フランスの詩人。早くから自殺の観念にとりつかれ,シュルレアリスムの反抗的,否定的側面にひかれて,この運動に参加。さめた意識によって深い絶望感を挑発的なシニシズムに変え,むなしさを知りつつダンディスムを気どったが,周到な準備の末,30歳の若さで自殺した。作品はいずれも死後に発表されたもので『遺稿集』 Papiers posthumes (1934) ,『作品集』 Œuvres (70) がある。

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