日本大百科全書(ニッポニカ) 「リヨテ」の意味・わかりやすい解説
リヨテ
りよて
Louis Hubert Gonzalve Lyautey
(1854―1934)
フランスの軍人。古い軍人家系の出であるが、早くからアルベール・ド・マンAlbert de Mun(1841―1914)のキリスト教社会主義の影響を受け、またブリュンチエール、ド・レニエらの文人とも交わりをもった理想家肌の植民地統治者として知られる。アルジェリア、インドシナ、マダガスカルと20年近い植民地勤務に手腕を示し、1912年フランスの対モロッコ保護条約調印直後モロッコ駐在総弁務官となった。以後、短期間の陸相在任を除き一貫してモロッコにあり、反抗鎮圧、行政、衛生・福祉事業、道路・港湾・都市建設、教育などに、諸部族上層部の支持を得て治績をあげたが、リフ人の反乱(1924)により辞任した(1925)。1912年アカデミー会員に推され、軍および軍人と、社会とくに植民地経営の関係について多くの著書がある。
[石原 司]