繋ぐ(読み)ツナグ

デジタル大辞泉 「繋ぐ」の意味・読み・例文・類語

つな・ぐ【×繋ぐ】

名詞「綱」の動詞化
[動ガ五(四)]

㋐ひも・綱などで物を結びとめて、そこから離れたり、逃げたりしないようにする。「犬を―・ぐ」「鎖で―・ぐ」
㋑相手の気持ちなどが離れていかないようにする。「彼女の心を―・ぐために一芝居打つ」
一定の所に留め置いて外へ出さないようにする。拘禁したり、拘束したりする。「獄に―・がれる」
結びつけてひと続きのものにする。「車両を―・ぐ」
離れているもの、切れているものを続け合わせて一つにする。また、そのようにして通じるようにする。「手を―・ぐ」「電話を―・ぐ」
なんとか長く、切れないようにたもたせる。たえないようにする。「望みを―・ぐ」「命を―・ぐ」「座を―・ぐ」
足跡などをたどって行方を追い求める。
「射ゆ鹿ししを―・ぐ川辺のにこ草の」〈・三八七四〉
[可能]つなげる
[動ガ下二]つなげる」の文語形
[補説]書名別項。→ツナグ
[類語](1㋐)繋ぎ止める縛る結び付けるける・もや/(3つなげる・繋ぎ合わせる・結び合わせる継ぎ合わせる継ぐ接続する連結する結ぶ結わえる縛るくくりつける取り結ぶ縛り付ける縛り上げる結い上げる結わえ付ける結わくつなぎ止めるもや結び付ける/(4結ぶ連絡する中継する中継ぎリレー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「繋ぐ」の意味・読み・例文・類語

つな・ぐ【繋】

  1. ( 名詞「つな(綱)」と同語源 )
  2. [ 1 ] 〘 他動詞 ガ五(四) 〙
    1. 切れたり離れたりしているものを結びとめて離れないようにする。また、離れないようにひとつづきにする。
      1. [初出の実例]「みつみつし 久米の子等が 粟生(あはふ)には 臭韮(かみら)一本(ひともと) そねが本 其根芽都那芸(ツナギ)て 撃ちてし止まむ」(出典:古事記(712)中・歌謡)
      2. 「ここにさるが二ひきゐます。どちらもくさりでつながれてゐます」(出典:幼学読本(1887)〈西邨貞〉一)
    2. 絶えないようにする。持ちこたえるようにする。
      1. [初出の実例]「昼は牛羊を牧(か)ひ、夜は生を提(ツナグ)」(出典:白氏文集天永四年点(1113)三)
    3. ( 比喩的に ) ある関係を保つ。信用などをとり結ぶ。
      1. [初出の実例]「平生より倹勤の徳を守らざれば到底信用を維(ツナ)ぎ難く候」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉虚業家尺牘数則)
    4. とらえる。とらえて、獄に入れる。自由を束縛する。また、自分の方に引きとめる。
      1. [初出の実例]「洪、罪に坐して相府に繋(ツナカ)れて、を刺す」(出典:高僧伝巻十三康和二年点(1100))
    5. 跡を追う。血痕や足跡などを手がかりに狙った獲物や敵などの跡をつける。
      1. [初出の実例]「射ゆ獣(しし)を 都那遇(ツナグ)川辺(かはへ)若草の 若くありきと 吾(あ)が思(も)はなくに」(出典:日本書紀(720)斉明四年五月・歌謡)
      2. 「さらば男の帰らむとき、しるしを付て、ゆかむ方をつないで見よ」(出典:平家物語(13C前)八)
    6. 小額の金銭を緡(さし)に通す。→繋ぎ銭
      1. [初出の実例]「小家住ゐの人々にはやさしく、銭壱貫弐百つなき集め、合力せしをよろこび、其座よりすぐ旅たち」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)三)
    7. 江戸時代、寄席芸人仲間で、一度その職を追われた者が復職する。
    8. 見る、認める、の意にいう人形浄瑠璃社会の隠語
      1. [初出の実例]「まことに人をなぶりだてするによりて、かへりて我がつながるる」(出典:咄本・私可多咄(1671)一)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙つなげる(繋)

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