日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルイーニ」の意味・わかりやすい解説
ルイーニ
るいーに
Bernardino Luini
(1481ころ―1532)
イタリア、ミラノ派の画家。初めブラマンティーノやベルゴニョーネ、ビンチェンツォ・フォッパらから学んだが、1510年ころ、当時ミラノに滞在中のレオナルド・ダ・ビンチから決定的影響を受け、ロンバルディア風の自然主義に加えて、師の明暗法やスフマート(煙のように、物の境界線をぼかして描く)の技法を修得した。またアンドレア・ソラリオを通じてベネチア派の彩色技法を吸収するとともに、油彩のほかフレスコ画に天分を発揮し、20年ころから独自の典雅で叙情的な画風を確立した。レオナルドの深い精神性には及ばないが、盛期ルネサンスの古典的様式を謳歌(おうか)し、ミラノとその周辺で活躍した。代表作に、モンツァのビラ・ペルッカの一群の壁画(現在ミラノのブレラ美術館に所蔵)、ルガノのサンタ・マリア・デリ・アンジェリ聖堂の諸作品、ブレラ美術館の『バラの聖母』、ミラノのポルディ・ペッツォーリ美術館の『聖カタリナ』など。
[上平 貢]