ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルツ記」の意味・わかりやすい解説
ルツ記
ルツき
Ruth; Book of Ruth
ルツ記は,主要登場人物であるモアブの女の名前からつけられた。彼女は,モアブにおいてユダ出身の夫婦の息子と結婚した。夫の死後,ルツは自国に残るより姑のナオミとともにユダに移り住むことを選んだ。その後ルツは,前夫の親戚にあたる裕福なボアズと結婚し,オベデを生む。同書の最後の方の記述によると,オベデはダビデの祖父にあたる。ルツがダビデの先祖だとするこの試みは,おそらく紀元前5世紀後期か紀元前4世紀頃につけ加えられたものと見られている。著者は,バビロン捕囚やエルサレム神殿の再建 (紀元前 516年) のとち,明らかにユダヤ主義を特徴づける選民主義を改める目的でこの物語を書いた。ダビデの家系 (4・17~22) を加えた編集者は,異邦人の女のひ孫をダビデとすることで選民主義の改正をさらに一歩進めた。
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