日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルーダキー」の意味・わかりやすい解説
ルーダキー
るーだきー
Abū ‘Abd Allāh Ja‘far Rūdakī
(?―940)
ペルシアの詩人。サマルカンド近郊のルーダクに生まれ、生地にちなみルーダキーと号す。「詩人の父」「詩人の帝王」の異名で知られるように、初期ペルシア詩の最大の詩人。サーマーン朝ナスル2世に宮廷詩人として仕え、「ブハラ宮廷の華」とうたわれたが、晩年は不遇であった。頌詩(しょうし)、叙情詩、叙事詩、四行詩などあらゆる詩形で10万句以上作詩したと伝えられるが、大部分は散逸し、約1000句が現存するにすぎない。ペルシア古典詩の主流をなすホラサーン・スタイルの基礎を確立した。素朴、平明な文体を特色とし、インド説話を起源とする『カリーラとディムナ』の作詩者としても名高い。
[黒柳恒男]