改訂新版 世界大百科事典 「レストン」の意味・わかりやすい解説
レストン
James Barrett Reston
生没年:1909-95
アメリカのジャーナリスト。スコットランドのグラスゴー近郊で生まれたが,11歳のとき家族とともにアメリカに移住した。1932年イリノイ大学を卒業後,オハイオ州でジャーナリズム関係の仕事につくが,34年AP通信社に入社。ロンドン支局勤務を経て,39年には《ニューヨーク・タイムズ》に移る。ロンドン支局長の時代に,イギリス市民の平静な戦中生活に感銘を受け,41年ワシントン支局(1946年支局長)に移ると,戦時情報局(QWI)の設置に協力した。44年の8月から9月にかけてワシントンで開かれ,国際連合の基礎をつくったダンバートン・オークス会議の取材(数多くの秘密文書を入手した),報道で45年度のピュリッツァー賞を受ける(1957年度にも受賞)。この時期から60年前後にかけて,多くのスクープをあげる巧妙,地道な取材,バランスのとれたリベラルな論評で《ニューヨーク・タイムズ》の象徴的な存在となり,また国際的に著名な政治記者となった。68年主筆,69年副社長となり,人材を集め,多数の有名記者を育てたが70年引退した。しかし,その後も政界に一定の影響力をもち,同紙のコラム,論評に健筆を振るった。生前のウォルター・リップマンと親交を結び,その直系をもって任じていたが,リップマンのような確固たる哲学はなく,どこまでも現場に密着しているのが,その強みである。
執筆者:香内 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報