スウェーデン生まれのアメリカの気象学者、海洋学者。ストックホルムに生まれる。ストックホルムで大学を卒業し、V・ビャークネスに招かれてノルウェー、ベルゲンの地球物理研究所に学んだ。1926年アメリカに渡って気象局に勤め、のちマサチューセッツ工科大学の準教授となり、1939年にはアメリカに帰化して気象局の副局長となり、研究部門を担当した。1941年からシカゴ大学気象学主任教授、シカゴ学派のリーダーとして気象力学上に多くの業績を残した。晩年はストックホルム大学教授も兼ね、ストックホルムに国際的な気象研究所を設立、気象学雑誌『テラス』を創刊した。
業績としては、気団解析に用いられるロスビー図の考案、絶対渦度保存の法則、長波の発見とその機構の研究、偏西風の研究、ジェット気流の研究など有名なものが多い。教育や研究組織の整備にも大きな影響を残し、近代気象学の父とよばれている。
[根本順吉]
アメリカの気象学者,海洋学者。建築技師を父とし,ストックホルムで生まれる。ストックホルム大学を卒業後,V.F.K.ビヤークネスに招かれ,1919年,ベルゲンの地球物理学研究所に入り,極前線論の研究を始める。26年アメリカに渡り,気象局に勤め,28年にはマサチューセッツ工科大学の気象学の助教授となる。39年にはアメリカに帰化し,気象局の副局長となり,研究と教育部門を担当。41年にはシカゴ大学の気象学主任となり,各国の気象学者を集め,ジェット気流,偏西風波動などを多面的にグループで研究し,いわゆるシカゴ学派のリーダーとなった。また,この頃プエルト・リコ大学に熱帯研究所をつくることにも努力し,50年以後はストックホルム大学の教授を兼任,同地に国際気象研究所をつくった。また,この頃ウッズホール海洋研究所において海流についての重要な研究も行っている。気団分析に用いるロスビー図の考案,絶対渦度の定理の大循環への適用,ロスビー波の発見,アイセントロピック解析など多くの重要な研究を行った。また,アメリカの《気象学雑誌Journal of Meteorology》やスウェーデンの気象学雑誌《Tellus》などを創刊している。優れた研究者であると同時に優れたリーダーであり,オルガナイザーとしても国際的に活躍した。多くの世界の一流の気象学者,海洋学者が影響を受けた。
執筆者:高橋 浩一郎
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