ロレスターン(その他表記)Lorestān

改訂新版 世界大百科事典 「ロレスターン」の意味・わかりやすい解説

ロレスターン
Lorestān

ロル族の居住するイラン南西部の地域名。現在,同名の行政州がある。州都はホッラマーバードKhorramābād。16世紀以前においてはロル族からバフティヤーリー族クーフギールーエ族,ママサニー族が分かれて独立していなかったので,ロレスターンは今よりも広い地域を指していた。北はケルマンシャーとハマダーンを結ぶ線,東はイスファハーン,ファールスの境界線,南はフージスターン平原,西はイラク国境に囲まれるザーグロス山脈一帯がそれである。地形は平均標高1600mの山脈が並走し,深い谷によって刻まれている。鉱物資源が豊かであるが,遊牧が一般的な生活形態である。この地域の歴史への登場は古く,前18世紀半ばから前1171年までバビロニアを支配していたカッシート人の故地はこの地域である。また前8~前7世紀のいわゆるルリスタン青銅器は,ここからの出土品である。近年は縦貫鉄道と道路の開通によってテヘランペルシア湾を結ぶ重要な交通の要衝になっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロレスターン」の意味・わかりやすい解説

ロレスターン
ろれすたーん
Lorestān

イラン西部の州。ルリスターンLuristānともいう。面積2万8392平方キロメートル(2000)、人口167万1706(2002推計)。ザーグロス山脈中の山岳地域で、州都はホッラマーバード。地名は「ロルの土地」の意で、イランの大部族の一つロル人の中心地である。彼らは11世紀にシリア地方から移住したといわれ、ロル語を話す。部族間の結束が固く、中央政府につねに反抗してきたが、現在では強制定住政策によって半農半牧の生活を送っている。この地方にはメディアやエラムなどの古代国家遺跡が多い。

[香川優子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロレスターン」の意味・わかりやすい解説

ロレスターン
Lorestān

ルリスターン Luristānともいう。イランの地方名。 (1) 広義には「ルル人の地」の意で,イラク国境とバーフタラーン州からロレスターン州,イラーム州フージスターン州低地まで南東に 650km,幅 160~230kmに広がる歴史的地域をさす。住民の多くは遊牧生活である。ルル人は先住種族で,イラン系とアラブ系の血が強く混り,ペルシア方言を用いる。なおこの地は 1929年以来の発掘によって,前 260年頃から紀元 800年頃にいたる考古学上の遺物の発見によって有名。 (2) イラン中央西部の州。州都はホッラマーバード。北西でバーフタラーン州,北東でマルカジー州ハマダーン州に接し,イラン縦貫鉄道,テヘラン-ホラムシャフル間幹線道路が通り,急に発展してきた。住民は農業と牧畜を営む。面積2万 8560km2。人口 136万 7029 (1986) 。

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