ロンドン塔(読み)ろんどんとう(英語表記)Tower of London

翻訳|Tower of London

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロンドン塔」の意味・わかりやすい解説

ロンドン塔
ろんどんとう
Tower of London

イギリスのロンドン東部、シティ地区の東端にある砦(とりで)。タワー・ヒルとよばれるテムズ川北岸高台に建ち、中央のホワイト・タワーのほか、王室宝物館、武器展示館など数個の建物とそれらを囲む城壁があり、さらにその外側には濠(ほり)が巡らされている。その歴史はカエサルのブリタニア遠征の際の築城に始まるといわれ、古くから要塞(ようさい)として使われていたが、12世紀のノルマン王朝による再建を経て徐々に拡張され、13世紀後半にほぼ現在の外形が整った。17世紀前半までは王室の居城の一つであったが、歴史上はむしろ監獄として知られ、トマス・モア、アン・ブリン、ジェーン・グレイらが処刑されるなど、数多くの歴史的エピソードをもつ。ウェストミンスターではなくシティの内部に置かれたその立地が示すように、本来はシティの住民に対する国王権力の威圧の意が込められていたが、18世紀ごろから観光の名所として親しまれるようになり、現在に至っている。1988年には世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[大久保桂子]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロンドン塔」の意味・わかりやすい解説

ロンドン塔
ロンドンとう
Tower of London

旧ロンドン市の東に接し,テムズ川の北岸に位置する城郭。現在地にはローマおよびサクソン時代にも城塞があったと推定されるが,現存最古の建造物ホワイト・タワーは,1078年頃ウィリアム1世がロンドン市を威圧するために建造させたもの。以後数世紀にわたって建物,城壁が増築された。元来は城塞であったが,スティーブン王からジェームズ1世の治世までは王宮として使用され (この部分は清教徒革命の際,O.クロムウェルによって破壊された) ,また 19世紀初めまでは国事犯牢獄処刑場として名高く,イギリス史上多くのエピソードを生んだ。 1988年世界遺産の文化遺産に登録。

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