改訂新版 世界大百科事典 「ローゼンバーグ」の意味・わかりやすい解説
ローゼンバーグ
Harold Rosenberg
生没年:1906-78
アメリカの美術批評家。第2次大戦直後のアメリカに起こった抽象絵画を〈アクション・ペインティング〉と命名し,これをダイナミックな論理で分析したことで知られる。J.ポロック,W.デ・クーニングらの画家にとって〈キャンバスは“表現する”場であるよりも,むしろ行為(アクト)する場としての闘技場に見えはじめた〉とし,〈絵ではなく事件〉を画面上に生起させた,生(なま)の現在とアクションが,アメリカ美術をヨーロッパ美術の伝統から解放したと説いた。戦後におけるアメリカ美術の重要性を最初に主張した功績は大きい。画期的論文〈アメリカのアクション・ペインター〉を収めた《新しいものの伝統》のほか,《アーシル・ゴーキー》《不安な物体》《美術作品とパッケージ》などの著作がある。またその活動は文学,政治など広い分野におよび,ニューレフトの立場からも多くの著作を残した。
執筆者:東野 芳明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報