アメリカの画家。オランダのロッテルダムに生まれ、商業デザインの仕事をする。またロッテルダム・アカデミーの夜間部に学ぶ。1926年アメリカに密航。塗装工、大工などで生計をたてながら絵を描く。1929年よりゴーキーと親交を結び共同生活を送る。1930年代以降、ピカソやシュルレアリスムの影響を受けて半具象的なイメージの絵画を制作するが、40年代の後半になると激しいタッチによりそのイメージがほとんど溶解した独自の作風に至る。この時期の代表作として『発掘』(1950)があげられる。しかし対象表現が放棄されたのではなく、50年代からふたたびイメージを復活させ、デフォルメされた醜悪な女性を描く高名な女性のシリーズに着手、その代表作に『女性Ⅰ』(1950~52)がある。以後、イメージを消滅させたり、あるいは出現させたりする作品を円熟した筆さばきによって描き続けた。1969年からはブロンズによる形状の定かでない人体彫刻を制作した。その旺盛(おうせい)な創作活動は80歳代まで持続したが、最晩年はアルツハイマー病に苦しんだ。1994年から95年にかけて大回顧展がワシントンDCやニューヨークなどで開催された。
[藤枝晃雄・小西信之]
『ハリー・F・ゴーグ著、桑原住雄・斉藤泰嘉訳『モダン・マスターズ・シリーズ ウィレム・デ・クーニング』(1989・美術出版社)』▽『『現代美術第5巻 デ・クーニング』(1993・講談社)』▽『木島俊介著『アメリカ現代美術の25人』(1995・集英社)』
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