精選版 日本国語大辞典「わ」の解説
わ
① 発言内容を感動をこめて確認する。
※天草本平家(1592)二「コト ガ デキタ ua (ワ)トユウテ ハセムカワウゾ」
※石川五右衛門の生立(1920)〈上司小剣〉九「まア、何んでもええわ。こっちへおいで」
② (①の用法から) 「わ」で終止する短い感動の文をたたみかけて用いる。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)四「随意に今日は寒(さむい)は。暑(あつい)は。雨がふるは。風が吹は。などいわすぞ」
③ 表現をやわらげて発言内容を確認し、軽く聞き手に働きかける女性語。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一「姉さんがやらなけりゃア、妾だって否ですワ」
[語誌](1)②の用法は、結果的に列挙表現となるが、「わ」それ自体はやはり感動の表現である。
(2)③の用法は①の用法から出たもの。江戸時代以前には男女の別なく用いられた①の用法が、明治以後男女により差が生じてきた。頻度的に女性に偏しただけでなく、女性使用の場合には③の用法が主流となった。①の用法は話者自身に対しての確認のニュアンスがあり、相手に対しては、ややつきはなした尊大な物言いとなるが、③の用法は聞き手を意識して、相手の同意を期待する確認で、また①と③ではイントネーションも異なる。
(2)③の用法は①の用法から出たもの。江戸時代以前には男女の別なく用いられた①の用法が、明治以後男女により差が生じてきた。頻度的に女性に偏しただけでなく、女性使用の場合には③の用法が主流となった。①の用法は話者自身に対しての確認のニュアンスがあり、相手に対しては、ややつきはなした尊大な物言いとなるが、③の用法は聞き手を意識して、相手の同意を期待する確認で、また①と③ではイントネーションも異なる。
わ
[1] 〘感動〙 驚いた時に思わず発することば。
※天理本狂言・入間川(室町末‐近世初)「わ、さればこそ、はらをたてたがだうりじゃ」
[2] 〘副〙
① 急に大声で泣くさまを表わす語。
※名語記(1275)二「小児のなく声のわときこゆ、わ如何」
② 大勢がいっせいに笑う声を表わす語。
※長門本平家(13C前)一六「敵も味方もわとぞ笑ひける」
わ
〘間投助〙 文節末にあって、発言内容に対する確認を表わす。
※古事記(712)中・歌謡「いざ吾君(あぎ) 振熊が 痛手負はずは鳰鳥(にほどり)の 淡海の海に 潜(かづ)きせな和(ワ)」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報