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 ハ

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デジタル大辞泉の解説

は[五十音]

五十音図ハ行の第1音。咽頭の無声摩擦子音[h]と母音[a]とから成る音節。[ha]
平仮名「は」は「波」の草体から。片仮名「ハ」は「八」の全画から。
[補説](1) 「は」は、古くは両唇の無声摩擦子音[Φ]と母音[a]とから成る音節[Φa]であり、さらに奈良時代以前には[pa]であったかともいわれる。室町時代末までは[Φa]であったが、江戸時代に入り、[ha]となった。(2) 「は」は、平安時代半ば以後、語中・語尾では、一般に[wa]と発音されるようになった。これらは、歴史的仮名遣いでは「は」と書くが、現代仮名遣いでは、助詞「は」以外はすべて「わ」と書く。

は[感]

[感]
かしこまって応答するときに用いる語。はっ。「―、承知いたしました」
ややかしこまって聞き返すときに用いる語。はあ。「―、なんとおっしゃいましたか」
大声で笑う声。あはは。
「人皆―と笑ひけり」〈宇治拾遺・五〉
不審を感じたり、当惑したりしたときに発する語。はて。
「―、これはいかなこと、ちごにおなりやったは」〈虎清狂・薬水〉

は[係助]

[係助]名詞、名詞に準じる語、活用語の連用形、助詞などに付く。
判断の主題を提示する意を表す。「犬動物だ」「教育国民の義務である」
「黒牛潟潮干の浦を紅の玉裳裾引(すそび)き行く―誰(た)が妻」〈・一六七二〉
ある事物を他と区別して、または対比的に取り立てて示す意を表す。「風強いが、日照っている」
「夕されば小倉の山に鳴く鹿―今夜(こよひ)―鳴かず寝(い)ねにけらしも」〈・一五一一〉
叙述の内容、またはその一部分を強調して明示する意を表す。「喜ばずにいられない」「やがてわかってくれるだろう」
「死を恐れざるに―あらず、死の近きことを忘るるなり」〈徒然・九三〉
(文末にあって)感動・詠嘆を表す。…ことよ。…だなあ。…よ。
「されど、門の限りを高う作る人もありける―」〈・八〉
(形容詞・打消しの助動詞「ず」の連用形に付いて)順接の仮定条件を表す。…のときは。…の場合は。…ならば。
「験(しるし)なきものを思はず―一坏(ひとつき)の濁れる酒を飲むべくあるらし」〈・三三八〉
[補説]係助詞「は」は現在では「わ」と発音するが、「は」で表記するのが普通。格助詞「を」、また「ときに」に付くときは、音変化して「をば」「ときんば」の形をとることもある。4については終助詞とする説もある。また、5については近世初期以降には「は」が音変化して、「くば」「ずば」の形をとることもあり、「ば」を接続助詞と解して仮定条件を表すこともあった。→をばときんばずばては

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大辞林 第三版の解説

五十音図ハ行第一段の仮名。声門摩擦音の無声子音と後舌の広母音とから成る音節。
平仮名「は」は「波」の草体。片仮名「ハ」は「八」の全画。 〔 (1) 「は」の頭子音は、古くは両唇摩擦音の無声子音であり、さらに奈良時代以前には両唇破裂音であったかといわれる。中世末期まで両唇摩擦音であったが、近世以降現代語と同じ音になった。 (2) 「は」は平安時代半ば以後、語中語尾では、一般にワと発音されるようになった。これらは、歴史的仮名遣いでは「は」と書くが、現代仮名遣いでは、助詞「は」以外はすべて「わ」と書く〕

( 感 )
緊張して応答するときに発する語。はっ。 「 -、かしこまりました」
問い返すときにややかしこまって発する語。 「 -、何ですか」
笑う声を表す語。ははは。 「席の人々一同に-と咲わらひけるを/沙石 3
怪しみ、いぶかるときに発する語。はて。はあ。 「 -、筋ともない事に聞きないて、腹をお立ちやる/狂言・薬水」

( 格助 )
〔上代東国方言〕
格助詞「」に同じ。 「我が背なを筑紫-遣りて/万葉集 4428

( 係助 )
〔現在では「わ」と発音する。助詞「を」の下に付くとき、「をば」となることがある〕
種々の語や文節、活用語の連用形などに接続する。多くの事柄の中から、一つのものを取り出して提示するのが本来の用法である。
特に一つの物事をとりあげて提示する。 「お酒-ぼくが買う」 「食事-もうすんだ」
題目を提示して、叙述の範囲をきめる。 「象-鼻が長い」 「ぼく-学生だ」 「今日-よい天気だ」
二つ以上の判断を対照的に示す。 「行き-よいよい、帰り-こわい」 「親に-孝行、友人に-信義」
叙述を強める。
〔格助詞・副詞などに付いて〕 意味や語勢を強める。 「たいてい-、そのまま帰る」 「君と-もう会わない」
〔動詞・形容詞の連用形、および助詞「て・で」に付いて〕 一続きの叙述の一部分を強調する。 「絶対に行き-しない」 「なるほど美しく-ある」 「少なくともわかって-いる」 「まだ書いて-いない」 「真実で-ない」
〔「…(で)は…(だ)が」の形で〕 譲歩の気持ちを表す。活用語の連用形に付くこともある。 「雨も、降り-降ったが、ほんのわずかだ」 「ごめんどうで-ございますが」
動作・作用の行われる条件・事態を表す。現代語では「ては」の形で用いられるが、古語では「ずは」「くは」「しくは」などの形をとることもある。 「不正があって-ならない」 「おこられて-大変だ」 「会社として-万全の備えをするつもりです」 「忘れて-夢かとぞ思ふ/伊勢 83」 「あらたまの年の緒長くあひ見ず-恋しくあるべし/万葉集 4408」 「鶯の谷よりいづるこゑなく-春くることをたれかしらまし/古今 春上」 「恋しく-形見にせよとわが背子が植ゑし秋萩/万葉集 2119」 → ずは(連語)ずば(連語)
文末にあって、終助詞的に用いられる。体言や活用語の連体形に接続して、感動の意を表す。よ。「はも」「はや」などの形をとることがある。 「歯固めの具にももてつかひためる-/枕草子 40」 「あはれ、それを奉り鎮め給へりし-や/大鏡 道長
(文末にあって終助詞的に用いられ)話し手自身に対して、念を押すような気持ちでの詠嘆を表す。 「すはよい-とて追たそ/史記抄 3」 「又五十字、百字有る歌もあらう-さて/狂言・萩大名 虎寛本」 〔は上代では「はや」「はも」の形をとる。は中世以後の用法。近世では「わ」と表記されることが多くなり、現代語で主として女性が用いる終助詞「わ」の源流となる〕 → はやはも(連語)わ(終助)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


五十音図第6行第1段の仮名で、平仮名の「は」は「波」の草体から、片仮名の「ハ」は「八」からできたものである。万葉仮名では「波、破、婆、簸、八、半、伴、絆、方、芳、巴、播(以上音仮名)、早、羽、葉、速、齒(以上訓仮名)」などが清音に使われ、「伐、婆、麼、縻、磨、魔(以上音仮名のみ)」などが濁音に使われた。ほかに草仮名としては「(波)」「(者)」「(盤)」「(半)」「(八)」「(葉)」「(羽)」「(破)」などがある。
 音韻的には/ha/(濁音/ba/、半濁音/pa/)で、喉頭(こうとう)無声摩擦音[h](両唇有声破裂音[b]、両唇無声破裂音[p])を子音にもつ。古く中央語のハの子音は、両唇無声破裂音[p]から両唇無声摩擦音[]に変化し、さらに江戸時代になって[h]になったものと考えられる。[上野和昭]

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