デジタル大辞泉 「は」の意味・読み・例文・類語
は[係助]
1 判断の主題を提示する意を表す。「犬
「黒牛潟潮干の浦を紅の玉裳
2 ある事物を他と区別して、または対比的に取り立てて示す意を表す。「風
「夕されば小倉の山に鳴く鹿―
3 叙述の内容、またはその一部分を強調して明示する意を表す。「喜ばずに
「死を恐れざるに―あらず、死の近きことを忘るるなり」〈徒然・九三〉
4 (文末にあって)感動・詠嘆を表す。…ことよ。…だなあ。…よ。
「されど、門の限りを高う作る人もありける―」〈枕・八〉
5 (形容詞・打消しの助動詞「ず」の連用形に付いて)順接の仮定条件を表す。…のときは。…の場合は。…ならば。
「
[補説]係助詞「は」は現在では「わ」と発音するが、「は」で表記するのが普通。格助詞「を」、また「ときに」に付くときは、音変化して「をば」「ときんば」の形をとることもある。4については終助詞とする説もある。また、5については近世初期以降には「は」が音変化して、「くば」「ずば」の形をとることもあり、「ば」を接続助詞と解して仮定条件を表すこともあった。→をば →ときんば →ずば →ては
は[五十音]
2 平仮名「は」は「波」の草体から。片仮名「ハ」は「八」の全画から。
[補説](1) 「は」は、古くは両唇の無声摩擦子音[Φ]と母音[a]とから成る音節[Φa]であり、さらに奈良時代以前には[pa]であったかともいわれる。室町時代末までは[Φa]であったが、江戸時代に入り、[ha]となった。(2) 「は」は、平安時代半ば以後、語中・語尾では、一般に[wa]と発音されるようになった。これらは、歴史的仮名遣いでは「は」と書くが、現代仮名遣いでは、助詞「は」以外はすべて「わ」と書く。
は[感]
1 かしこまって応答するときに用いる語。はっ。「―、承知いたしました」
2 ややかしこまって聞き返すときに用いる語。はあ。「―、なんとおっしゃいましたか」
3 大声で笑う声。あはは。
「人皆―と笑ひけり」〈宇治拾遺・五〉
4 不審を感じたり、当惑したりしたときに発する語。はて。
「―、これはいかなこと、ちごにおなりやったは」〈虎清狂・薬水〉