翻訳|iconoscope
テレビジョン撮像管の一種で、1933年アメリカのV・K・ツウォリキンの発明したもの。この発明以前はファンスワース管といわれる解像管などが用いられていたが、感度が低いため実用的でなかった。アイコノスコープの出現により、精細な画像が初めて可能になった。
結像のためのモザイク面は、厚さ30~40マイクロメートルの薄いマイカ(雲母(うんも))板の片面に、直径1~2マイクロメートルの光電効果をもった銀の粒子を散布して光電素子としたものである。マイカ板の他の面には金属が蒸着してあり、信号板とよばれる。被写体の像をモザイク面上に結ぶと、像の明暗、つまり光の強弱に応じた光電子を放出し、その部分は電気的に正になり、信号板には静電誘導で負の電荷が残る。モザイク面に電子銃から出た電子ビームを当てると、ビームの負電荷によってモザイク面上の正電荷が中和され、信号板上の負電荷は解放されて外部回路に放電電流が流れる。したがって、適当な偏向装置により電子ビームをモザイク面上に走査(画面を一定の順序に従って電気信号に変える)してやると、二次元画像から時間の経過に伴って変化するテレビジョンの映像信号が得られる。
アイコノスコープは歴史的に重要で、今日のテレビジョン発展の素地をつくったが、その後、高感度の撮像管が次々に開発され、現在は使用されていない。
[金木利之]
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