精選版 日本国語大辞典 「アイスホッケー」の意味・読み・例文・類語
アイス‐ホッケー
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氷上スケート競技の一種。6人ずつの2チームで、スティックを操り、円盤状のパックを相手方のゴールに入れ合い、その得点で勝敗を決める。選手の滑走最高時速は50キロメートル以上、パックのそれは150キロメートル以上でスピード感にあふれる。しかもボディチェック(体当たり)など格闘技に似た激しい選手の動きがゲームを盛り上げる。
起源は、イギリス、オランダで行われていたバンディーbandyという競技である。リンクはフィールドホッケーのように広大で、選手数も1チーム11人と、フィールドホッケーをそのまま氷上に移したものといってよい。この競技がカナダに伝わり、1860年ローヤル・カナディアン・ライフルズ連隊の兵士たちがキングストンの氷原で初めてパックを使って試合を行っている。起源についてはほかに、スコットランドのシンティ、カナダのシニー、アイルランドのハーリングという説もある。
1877年1月、最初の公式アイスホッケーチームが、カナダのモントリオールにあるマックギル大学で結成された。さらに同年2月には、初めてルールが成文化され、モントリオールの地方新聞に発表されている。1チーム9人制であった。
以後もルールの研究、合理化が続けられ、チーム構成は7人になったのち、現行の6人に落ち着いた。また、リンクを縮小し、一定の高さの板塀で囲むようになった。用具のスティックやパックにも改良が加えられ、ゲーム展開はよりスピーディーになり、広い層から支持を受け、ついにはカナダの国技にまで成長した。1893年にはアイスホッケー界最高のスタンレー杯選手権が制定され、翌1894年モントリオール・アマチュア運動競技協会を代表するクラブが第1回の優勝を飾った。なお、1893年にはアメリカのエール大学で同国初のアイスホッケー試合が行われ、1896年にはニューヨーク市にアメリカ・アマチュア・ホッケーリーグが誕生した。
ヨーロッパではオーストリア、ドイツ、イギリスなどに急速に広まり、1908年フランス人マグナスLouis Magnus(1881―1950)の提案で国際アイスホッケー連盟International Ice Hockey Federation(略称IIHF)が設立された。加盟国はフランス、ボヘミア(現在チェコに含まれる)、イギリス、スイス、ベルギーの5か国であった。
国際的競技会としては、世界選手権大会、ヨーロッパ選手権大会、オリンピック冬季大会がある。1910年の第1回ヨーロッパ選手権大会ではイギリスチームが優勝。第1回世界選手権大会は、1924年の第1回冬季オリンピック・シャモニー大会中の一種目として行われ、カナダチームが優勝した。以後オリンピック開催年に行われる世界選手権はオリンピック種目を兼ね、1972年(昭和47)札幌オリンピック大会から別個に行われるようになった(ただし、1980年、1984年、1988年には世界選手権は行われなかった)。世界選手権大会は成績順にトップディビジョン、ディビジョンⅠ、ディビジョンⅡ、ディビジョンⅢの四つに分けられており、毎年リーグ戦が行われている。
なお、アメリカとカナダではアイスホッケーをプロフェッショナル化して2国にまたがるプロ・ホッケーのリーグ(NHL)を組織している。
[両角政人・植木 孝]
1921年(大正10)ごろ、早稲田大学、慶応義塾大学、東京帝国大学、北海道帝国大学、旧制松本高校などにスケート部が創設された。1923年北大本科対予科の試合が最初の試合とされている。1924年には、長野県下諏訪(しもすわ)町の特設リンクで早大対松本高校、東大対慶大の対抗試合が行われた。融氷により決勝戦は行われなかったと伝えられる。1929年(昭和4)11月、現在の日本スケート連盟(当時は大日本スケート競技連盟)が誕生、1972年(昭和47)の日本アイスホッケー連盟の分離創立まで、スピード、フィギュア、アイスホッケーの3種目を総括、同時に全国のスケート団体を統轄する母体となった。
日本のアイスホッケーチームが外国に遠征したのは、1930年(昭和5)1月、満州医科大学チームのヨーロッパ遠征が最初である。また1935年3月には、当時世界屈指のカナダのサスカトゥーン・クエーカー・チームが来日、7試合に圧勝して、初めて本場アイスホッケーの実力を紹介した。日本代表チームのオリンピック初参加は、翌1936年2月ドイツのガルミッシュ・パルテンキルヘンで行われた第4回冬季オリンピック大会である。第二次世界大戦後、日本チームは、1960年第8回大会から1980年第13回大会までは毎回冬季オリンピックに参加していたが、それ以降は1998年長野大会のみの参加となっている(2013年末時点)。また世界選手権大会へは、1957年モスクワ世界選手権大会出場をはじめとして、1967年以降はほぼ毎回出場(2011年は東北地方太平洋沖地震のため不参加)、世界の強豪と技を競っている。
国際交流に伴い国内アイスホッケーもいよいよ隆盛になり、日本アイスホッケー連盟は毎年行われる日本選手権大会、学生選手権大会のほか、1966年(昭和41)11月には、岩倉組、王子製紙、福徳相互、西武鉄道、古河電工の5チームによる日本アイスホッケーリーグを開始した。その後、2003~2004年シーズンからアジアリーグ・アイスホッケーが開催されるようになり、翌シーズンから、日本リーグはアジアリーグに統合された。アジアリーグ2013~2014年シーズンには、日本4チーム(日光アイスバックス、日本製紙クレインズ、王子イーグルス、東北フリーブレイズ)、韓国3チーム(アニャンハルラ、デミョンサンム、ハイワン)、中国1チーム(チャイナドラゴン)、計8チームが参加している。
2013年の時点で世界のトップレベルにあるのは、ロシア、フィンランド、チェコ、スウェーデン、カナダ、スロバキア、アメリカ、ノルウェーで、これに続くのが、スイス、ドイツ、ラトビア、デンマーク、ベラルーシ、フランス、オーストリア、イタリアの順で、日本は世界ランキング22位である。
また、世界女子選手権では、日本は2007年にディビジョンⅠで優勝し、2008年はトップディビジョンに昇格。その後ディビジョンⅠに降格したものの、2013年4月にグループAで優勝し、トップディビジョン復帰を決めた。同年2月にはオリンピック最終予選を勝ち抜いており、2014年冬季オリンピック・ソチ大会(ロシア)にも出場する。
[両角政人・植木 孝]
リンクの大きさは長さ56~61メートル、幅26~30メートルで、高さ1.17メートル以上1.22メートル以下のボードと称する木製またはプラスチック製の壁で囲まれている。ボードの色は白とする。リンクは幅30センチメートルのブルーライン2本によって、三つの氷域に等分割される。中央の氷域はニュートラルゾーンとよび、ゴールを含む両端の氷域は、そこを防御するチームにとってはディフェンディングゾーン、逆に攻撃する側にとってはアタッキングゾーンになる。リンク中央には、ゴールラインに平行してリンクを横切り、垂直にボードに達する幅30センチメートルのレッドラインが引かれ、これをセンターラインとよぶ。センターラインの中心の点および円は、試合開始時のフェイスオフ・スポットの円で、他の四つの円と同じく、フェイスオフ時に他の選手が入れない限界の線である。ニュートラルゾーンの、ブルーライン近くにある点もフェイスオフ・スポットである。枠組み外部に、パックが飛び出さないようにネットが張られているゴール(高さ1.22メートル、幅1.83メートル、奥行0.6~1.12メートル)は、ゴールライン上の中心に固定される(
)。[両角政人・植木 孝]
(1)スケート プレーヤーはセーフティー・ブレード(安全ヒールガード)のついた「アイスホッケー用のスケート」を着用しなければならない。また、ゴールキーパーは、IIHF(国際アイスホッケー連盟)の承認した「ゴールキーパー専用スケート」を着用する。
(2)スティック 木製またはIIHFの承認した素材でつくられたものでなければならない。また、蛍光色に塗られたスティックの使用は認められない。プレーヤー用のスティックとゴールキーパー用のスティックがあり、形状が異なる(
参照)。(3)パック 厚さ2.54センチメートル、直径7.62センチメートル、重さ156グラム以上170グラム以下の硬化ゴム、またはIIHFの承認した材質でつくられた平たい円盤状のもので、色はおもに黒とする。
(4)防具 スケート、スティック、パックなどでけがをしやすいので、選手はユニフォームの下にフェルトと革をあわせたプロテクター(胸当て)とレッグガード(すね当て)、エルボーパッド(ひじ当て)をつけ、頭部にはヘッドギヤー、チンストラップ(あごひも)、手には厚いグローブをはめる。シュートをさばくゴールキーパーはプレーヤーより重装備で、防具の重さは6キログラムもある。また、プレーヤーは全員、首とのどのプロテクターおよびマウスガードを使用する。
[両角政人・植木 孝]
試合は1チーム6人編成で行われる。フォワード(FW)3人、ディフェンス(DF)2人、ゴールキーパー(GK)1人で、ゴールキーパーを除く5人の選手がスティックを操作しながら、相手ゴールへパックを打ち込んで得点を争う。まず、センターライン中央で両チームのセンターフォワード(CF)が、レフェリーの投下するパックをスティックで奪い合う(フェイスオフ)。これで試合が開始される。試合時間は20分ずつ3回、その間に15分ずつの休憩がある。ゴールへパックを打ち込むと得点(1点)になり、試合終了時、得点の多いチームが勝ちとなる。
フォワードはおもに攻撃が役目で、スピードのある選手が選ばれ、ディフェンスはボディチェック(体当たり)など相手の突進を防ぐのが任務で、頑健な身体が要求される。防御から攻撃に移るとき、ディフェンスもフォワードに加わって5人で攻撃をかけるのが、スピードとスリルに富む近代アイスホッケーの傾向である。アイスホッケーは水球に次いで体力消耗の激しい競技であるから、1試合の1チーム登録選手20人(国際試合および日本選手権大会では22人)のうち、ゴールキーパー2人を除く18人中から随時交代できる。危険を伴うので、これを防ぐため、反則を犯した選手には、軽重により、2分、5分、10分間の退場や、また残余試合時間中ずっと退場を命ぜられるマッチ・ペナルティーとゲーム・ミスコンダクト・ペナルティーなどの罰則がある。
チームには、ユニフォームに「C」のマークをつける主将(1人)と、「A」のマークをつける主将代行(2人以下)がいる。試合中発生する競技規則解釈上の諸疑問に関して、レフェリーに質問する特権をもつのは、主将に限られる。ただし主将が負傷などでベンチにいなくなったときは、主将代行が代行できる。国際試合、国内試合とも、通常はレフェリー1人、ラインズマン2人で行われているが、トップリーグの試合はレフェリー2人、ラインズマン2人の4人制が主流である。ほかにゴールジャッジ2人、ゲームスーパーバイザー、ゲームタイムスコアラー、ペナルティータイムキーパー、オフィシャルスコアラー各1人が各試合で任命される。
[両角政人・植木 孝]
『大室広一著『アイスホッケー』(1999・成美堂出版)』▽『公益財団法人日本アイスホッケー連盟監修・発行『アイスホッケー国際競技規則』(2010~2014年度)』
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(折山淑美 スポーツライター / 2007年)
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…サッカーやラグビーやアメリカン・フットボールなどのフットボール系統の競技や,ホッケーやアイスホッケーといったスティックを使う球技,それに水球などで,相手ゴール方向への行動を制約している規定。一般的にボール(アイスホッケーではパック)を支配保持していないプレーヤーが対象で,ボールよりも前方の,ルールに定められた侵入禁止地域やプレー禁止地域に位置すること,およびその地点でプレーする反則をいう。…
※「アイスホッケー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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