アクリル樹脂(読み)アクリルジュシ(英語表記)acrylic resin

デジタル大辞泉 「アクリル樹脂」の意味・読み・例文・類語

アクリル‐じゅし【アクリル樹脂】

代表的なプラスチックの一種。アクリル酸メタクリル酸、およびそれらの誘導体重合して作る合成樹脂の総称。透明度が高く硬いが、すり傷がつきやすい欠点がある。ガラスなどに使用。

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精選版 日本国語大辞典 「アクリル樹脂」の意味・読み・例文・類語

アクリル‐じゅし【アクリル樹脂】

  1. 〘 名詞 〙 合成樹脂の一つ。アクリル酸から作られる。透明で耐光性、耐薬品性、電気絶縁性があり、特殊ガラス、建築材料などに用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アクリル樹脂」の意味・わかりやすい解説

アクリル樹脂
あくりるじゅし
acrylic resin

代表的なプラスチックの一種。アクリル酸やメタアクリル酸などのエステルからの重合体の一般名である。その代表的なものはメタクリル酸メチルエステルCH2=C(CH3)CO2CH3(メタクリル酸メチル、略称MMA)の重合体で、一般には「有機ガラス」の一つとして知られている。アセトンCH3COCH3とシアン化水素酸(青酸)HCNとメタノールメチルアルコール)CH3OHを原料としている。比重1.18。透明性のよいプラスチックで、光とくに紫外線を普通のガラスよりも通しやすい。安定で耐光性もよい(光の照射によって退色したり品質を劣化させない)。同様に透明性の高いプラスチックとしてポリスチレンがあるが、それとは異なり、温めて曲げたりする細工がしやすい。耐候性、電気絶縁性、耐水性ともに優れ、150℃以上で圧縮成形もできる。また型に注入して透明な注型品をつくることもできる。航空機、自動車の風防ガラスとして、またチタン白(はく)(チタンホワイト)を混入して白色の照明器具のカバー、建築材料など多方面に使われている。ガラス以上の透明性をもち、ガラスの重さの約半分で、加工性も優れている反面、硬度が小さいので擦(す)り傷、ほこりがつきやすい欠点がある。医療用材料としてはコンタクトレンズと義歯のほとんどがこの樹脂でつくられている。さらに塗料用樹脂としていろいろのアクリル樹脂変性塗料が自動車に使われている。

 またアクリル酸やそのメチルエステルやエチルエステルの重合物や共重合物がある。アクリル酸メチルエステルCH2=CHCOOCH3の重合物は接着剤や塗料、織物の樹脂加工用として耐摩擦強度の増加、つや消しとして使われている。アクリル酸の重合体のナトリウム塩は水溶性高分子電解質である。酸を加えると一度固まるが、よく振り動かせば溶解する。きわめて粘度が高い。化粧品用としてヘアローションポマードなどの基材となる。また、このカルシウム塩は土壌改良剤になる。

[垣内 弘]

『浅見高著『プラスチック材料講座 アクリル樹脂』(1970・日刊工業新聞社)』『中部経営開発センター編『アクリル樹脂の合成・設計と新用途開発総合技術資料集』(1985・中部経営開発センター出版部)』『竹原あき子著『魅せられてプラスチック――文化とデザイン』(1994・光人社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「アクリル樹脂」の意味・わかりやすい解説

アクリル樹脂 (アクリルじゅし)
acrylic resin

アクリル酸またはメタクリル酸のエステルを主成分とする樹脂の総称であるが,一般には有機ガラスとして知られるメタクリル酸メチル樹脂methyl methacrylate resinを指す。

メタクリル酸メチル樹脂は無色透明で,硬く,かつ耐候性にすぐれている。とくに透明性は通常知られている樹脂中もっとも高く,かつ屈折率も大きいので,光学材料として広く用いられている。とくに無機ガラスに比べ,強靱であり,安全性が高く,着色,加工も容易であり,照明用,看板・広告用をはじめ,自動車,航空機の窓ガラス,住宅,工場の明り採りなどに用いられる。最近では繊維として,光通信用,装飾用に用いられるほか,レンズサングラスにも用途が広がっている。

 メタクリル酸メチルのラジカル重合によってつくられる。シート状のものは2枚のガラス板の間に触媒とモノマーをはさんでそのまま重合させるいわゆる〈鋳込重合〉でつくられ,成形品はモノマーを水中に懸濁させて重合させるいわゆる懸濁重合でまず粒状体をつくり,これを押出成形あるいは射出成形することによりつくられる。製品の特性を向上させるため,しばしば少量の第二・第三成分の共重合による改質も行われる。

 アクリル樹脂は熱可塑性であり,かつ非晶性の高分子で,クロロホルム,アセトンなどに可溶,80~100℃で変形する。成形は通常260℃付近で行われる。樹脂の比重1.19,屈折率1.49,引張強さ800kg/cm2,弾性率3.0~3.5×104kg/cm2,吸水率0.3%。重合度は成形品で1万程度,シートの場合はそれより高めで1万5000程度である。

 なおアクリル酸エステルからなる樹脂は液状または軟質であり,透明性にすぐれ,アクリル樹脂塗料などの原材料に使用される。
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百科事典マイペディア 「アクリル樹脂」の意味・わかりやすい解説

アクリル樹脂【アクリルじゅし】

アクリル酸またはメタクリル酸から誘導される高分子化合物の総称だが,ふつうは有機ガラスとして知られるメタクリル酸メチル樹脂を指す。耐候性にすぐれ,加工性,着色性,透明性,強靭さなどでも高く評価され,従来の無機ガラスにとってかわり照明・広告・看板用材料,自動車・航空機の窓ガラス,光学機器・メガネのレンズ,光通信用ファイバー繊維などに利用が広がってきている。
→関連項目アクリル絵具眼内レンズ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アクリル樹脂」の意味・わかりやすい解説

アクリル樹脂
アクリルじゅし
acrylic resin

広義には,アクリル酸およびそのエステルなどの誘導体,およびメタクリル酸メチルなどのメタクリル酸誘導体の重合体および共重合体の総称であるが,普通にはその代表的な合成樹脂,ポリメタクリル酸メチルをさしていう。アクリル酸エステルの共重合体は塗料,接着剤などに使用される。

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リフォーム用語集 「アクリル樹脂」の解説

アクリル樹脂

代表的なプラスチックの一種。アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体で、透明性の高い非晶質の合成樹脂。高い透明性・耐衝撃性があり、熱可塑形成・着色が容易なことから、無機ガラスの代用品として建築や乗物の窓材、照明器具のカバー、道路標識、日用品、事務用品、工芸品など、幅広く利用されている。

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栄養・生化学辞典 「アクリル樹脂」の解説

アクリル樹脂

 アクリルポリマーともいう.アクリル酸,メタクリル酸とそのエステルが重合した樹脂.

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