透明度(読み)トウメイド

デジタル大辞泉 「透明度」の意味・読み・例文・類語

とうめい‐ど【透明度】

湖や海の水の透明の度合い。透明度板水中に沈め、肉眼で見えなくなるときの深さで表す。

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精選版 日本国語大辞典 「透明度」の意味・読み・例文・類語

とうめい‐ど【透明度】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 液体の透明の程度。特に、海水湖水などの透明さの度合。水中に沈めた透明度板(直径三〇センチメートルの白色円板)が肉眼で見えなくなる深さをいい、メートルで表わす。〔英和和英地学字彙(1914)〕
  3. 鉱物をどのくらい薄くすれば光を通すかという割合を表わす値。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「透明度」の意味・わかりやすい解説

透明度
とうめいど

湖沼、海などの水の濁り方を示す一方法。直径25~30センチメートルの白色円板を水中に下ろし、円板の白色の判別ができなくなる深さを測定したときの値を透明度という。この測定法は、海中に落とした皿から考えついたといわれているが、イタリアの天文・物理学者セッキの研究により実用化したので、この白色円板を「セッキ円板」とよぶ。また、この透明度を「セッキ円板透明度」とよぶこともある。

 透明度は、水中の懸濁(けんだく)物質やプランクトンの量により変動する。一つの目安として、湖沼では透明度5メートル以下がプランクトンの多い富栄養湖、7~8メートル以上が貧栄養湖とされている。水中の光は、透明度の2~2.5倍の深さで水面の約1%にまで減少する。この位置は、日平均での光合成量と消費量とが等しくなる深度である補償深度に近いとされている。

 透明度が大きかった例としては、北海道の摩周湖(ましゅうこ)(41.6メートル、1931年8月測定)、ロシア連邦バイカル湖(40.5メートル、1926年6月測定)などがあげられる。日本の湖はかつては澄んだものが多く、秋田県の田沢湖、福島県の猪苗代湖(いなわしろこ)、鹿児島県の池田湖などで20メートル以上の値が得られたことがあった。しかし、現在ではこれらの湖の透明度は5~6メートルの場合が多い。バイカル湖の現在の値は30~40メートル以下、摩周湖では30メートル以下である。

 海洋でもっとも澄んでいる海域は、大西洋サルガッソー海であり、透明度は66.5メートルに達したことがある。日本近海では、黒潮海域の透明度が30~34メートル、親潮海域では10~15メートル、日本海では20~30メートルである。また、湾内では数メートル以下である。

 透明度は測定法が簡単であるため、陸水学海洋学で広く用いられ、人工衛星資料より透明度を推定することも行われている。100年以上にわたって測定法に変更がなく、かつデータが多い透明度は、湖水の歴史的な変化あるいは湖沼相互間の比較検討の面でも優れた指標になっている。なお、水質検査項目にある透視度は、おもに流れがある河川やごく浅い池で用いられ、透明度とは違う測定方法なので注意が必要である。

[新井 正]

気象

気象学の分野では、大気の透明の度合いをいう。海水や湖水など水の透明度と区別するため、大気透明度とよぶことがある。透明度は気象学ではあまり用いられないため、その表現方法として、視程、視距離、透過率混濁係数、混濁因子などがあり、とくに定まったものはない。これらのうち、視程がもっとも一般的である。ちなみに、非常に遠方の物体が細部にわたりきわめて明瞭(めいりょう)に見える状態をとくに大気透明とよぶ。

[股野宏志]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「透明度」の意味・わかりやすい解説

透明度[海水]
とうめいど[かいすい]
transparency of seawater

水中に白色円板を沈めたとき見えなくなる深さで定義する。透明度板を用いてはかる。透明度は海水の状態の総合的性質を表わすもので,粘土質のコロイド物質が多いと透明度が小さく,そのときは濁度計で清濁をはかることがある。外洋の海水は粘土などがなくても透明度に差があり,黒潮では透明度が 30~40mであるのに対し,親潮では 10~15mにすぎないのは,親潮にはプランクトンが多いことが主原因といわれる。

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百科事典マイペディア 「透明度」の意味・わかりやすい解説

透明度【とうめいど】

湖水や海水の中を光が通過する程度。自然の状態において,白色円板を水中に沈め,見えなくなるまでの水深で表示する。日本では直径25cmの円板(セッキ円板)を使用。水中光度が水面光度の約15%になる深さとほぼ一致する。透明度の2倍の深さは大体補償深度と一致する。富栄養湖は透明度が低く,貧栄養湖は大きい。最大透明度は海で60m(サルガッソー海),湖沼で41.6m(摩周湖,1931年観測。近年は30m以下に低下),40.5m(バイカル湖,1911年調査,近年は5〜23mに低下)。

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海の事典 「透明度」の解説

透明度(海洋)

海水の清濁の度合を表す指標で、海水中に白色の円板(透明度板)を沈めていき、それがちょうど見えなくなる深さで定義する。この深さは、透明度板からの反 射光とその上にある海水からの散乱光との相対的な強弱により決まるため、空の晴曇・明るさにはほとんど関係しない。黒潮域の透明度は30~40m、親潮域 で10~15m、測定された最高値はサルガッソー海で得られた66.5m である。測定法が簡単なため、現在でもしばしば用いられる。 (永田)

出典 (財)日本水路協会 海洋情報研究センター海の事典について 情報

ダイビング用語集 「透明度」の解説

透明度

水中で上下方向にどのくらい視界が利くかを表わす際の言葉。ダイビングでは透視度もこの言葉に含んで一括表記することが多い。

出典 ダイビング情報ポータルサイト『ダイブネット』ダイビング用語集について 情報

世界大百科事典(旧版)内の透明度の言及

【湖沼】より

…湖水の透明さは,水を濁らせる有色物質と懸濁物質による光の吸収減衰により左右される。湖水の濁り度を定量的に測るものさしとしては,透明度transparencyが一般的に用いられている。これは直径約30cmの白色円板(考案者の名を用いセッキ円板ともいう)を水中に下げていき,水上から肉眼で円板が見えなくなる限界の深さで示す。…

※「透明度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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