日本大百科全書(ニッポニカ) 「アクリル酸」の意味・わかりやすい解説
アクリル酸
あくりるさん
acrylic acid
代表的な不飽和カルボン酸。プロペン酸ともいう。
クロロプロピオン酸の脱塩化水素、ヒドロキシプロピオン酸の脱水により調製できる。工業的には、石油から得られるプロピレンを原料として、アクリルアルデヒドを経る2段階の酸化により製造されている。この酸化反応は酸化剤として空気を用い、触媒にモリブデン系化合物を用いる。プロピレンからアクリル酸を1段階でつくる製造法もある。
酢酸に似たにおいのする液体で、水とは任意の割合で混じり合う。毒性が強く、重合しやすい。単独で重合させるとポリアクリル酸になり、増稠(ぞうちょう)剤、紙加工用粘結剤などに用いられる。架橋を含むポリアクリル酸ナトリウムは吸水性が強いので、紙おむつなどに用いる。
[廣田 穰]