イギリスのエッセイスト、ジャーナリスト。オックスフォード大学を出て詩作を試み、政界に入って国会議員となる。1711年にエッセイ新聞『スペクテーター』を友人R・スティールとともに創刊、世相一般、文学、道徳に関するくつろいだ感じのエッセイを発表し、とくに老地主サー・ロジャーなど各界から架空の人物をこしらえて紙上で語り合わせるなどのくふうをして独特のジャンルをつくりあげた。彼はホイッグ党びいきで、同じ傾向の作家の間でしだいに有力者となり、詩人ポープと対立して文壇の話題となった。そのほか政治論文や劇作も試みている。
[岡 照雄]
イギリスの医者。イングランドのニューカッスルに商人の子として生まれ、エジンバラ大学を卒業して医師となった。ロンドンのガイ病院の医員を長く勤め、診療、研究のほか、薬物学、内科学の講義を担当した。1849年に、副腎(ふくじん)疾患として、原因不明の貧血を発見し、1855年に発表したが、生前は彼の優秀な技能が認められず、好奇心をもってみられたにすぎなかった。しかし彼が死亡したあと、この貧血症の発見が高く評価され、フランスのトルッソーArmand Trousseau(1801―1867)によって「アジソン病」とよばれるようになった。そのほかの重要な研究は『アジソン業績集』として、1868年にロンドンの新シデナム協会から発刊された。
[古川 明]
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