ノーサンバーランド(英語表記)Northumberland

翻訳|Northumberland

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノーサンバーランド」の意味・わかりやすい解説

ノーサンバーランド
Northumberland

イギリスイングランド北部の単一自治体(ユニタリー unitary authority)。行政府所在地モーペス。1974年の自治体再編により,それまでのノーサンバーランド県の南東部がタイン・ウィア地域の一部として分離され,2009年に県から単一自治体に移行した。北西スコットランドに接し,東は北海に面する。海岸平野内陸山地,丘陵地帯からなり,北部にチェビオット丘陵,南西部にペナイン山脈がある。山がちなため人口密度は低く,海岸平野では牧羊,牧牛およびオオムギ栽培が大規模に機械化されて行なわれている。1707年イングランドとスコットランドが統一されるまでは国境紛争が絶えなかった地域であるが,中世には羊毛皮革の輸出で繁栄。南東部にノーサンバーランド炭田の一部を含み,ロンドンへの石炭輸送と造船業で発展したが,20世紀後半になると重工業は衰退した。1974年の自治体再編によりニューカッスルアポンタインを中心としたタイン川下流域の工業地帯を失ったが,南東部のブライズには工業団地があり,電気機械の製造や軽工業が行なわれる。ベリックアポントウィードは北東部の中心地で,トウィード川のサケ漁で有名。面積 5013km2。人口 31万1300(2005推計)。

ノーサンバーランド(公)
ノーサンバーランド[こう]
Northumberland, John Dudley, Duke of

[生]1502
[没]1553.8.22. ロンドン
イギリスの貴族。 E.ダッドリーの長男。 1542年海軍長官。 44年エドワード・シーモア (のちのサマセット〈公〉 ) を助けてスコットランドに侵入。 46年ウォリック伯。 47年エドワード6世の即位にあたりサマセット公に協力して摂政団の一員となる。同年ピンキーでスコットランド軍を破り,49年 R.ケット反乱鎮圧。同年サマセット公を失脚させたのち,政治の実権を握る。 51年公爵に叙せられ,復活したサマセット公を捕えて,翌年処刑。祈祷書の制定など国教会の新教化を促進し,エンクロージャー反対を弾圧するとともに,貿易促進に努力。 53年4男のギルフォード・ダッドリーを王族の J.グレーと結婚させ,エドワード6世の死に際し,グレーを女王に擁立し勢力保全をはかったが,9日間で失敗。ロンドン塔で処刑された。

ノーサンバーランド(伯)
ノーサンバーランド[はく]
Northumberland, John Neville, Earl of

[生]1431
[没]1471.4.14. バーネット
イギリスの貴族。「国王製造人」と呼ばれたリチャード・ネビル (ウォリック〈伯〉 ) の弟。 1453年パーシー家戦い,これがバラ戦争発端となる。ヨーク家エドワード4世を助けた功により,64年5月ノーサンバーランド伯家が創設された。ネビルがエドワード4世にそむいたときこれに加わり,王を敗走させたが,71年立直った王の軍と戦って敗死

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノーサンバーランド」の意味・わかりやすい解説

ノーサンバーランド
のーさんばーらんど
Northumberland

イギリス、イングランド北東端のカウンティ(県)。面積5026平方キロメートル、人口30万7186(2001)。県都ニューカッスル・アポン・タイン。東は北海に臨み、北はスコットランドに接する。トゥウィード川とチェビオット丘陵がスコットランドとの境界をなす。西はペニン山脈が南北に走り山がちで、ヒースに覆われた荒地が多く、耕作農業には不適。ローマ時代のハドリアヌスの長城の遺跡が県の南部に残る。イングランド七王国(ヘプターキー)時代の7世紀には、フォース湾とハンバー川の間に王国ノーサンブリアNorthumbriaが繁栄した。石炭採掘、造船、牧羊などが主産業。

[久保田武]

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百科事典マイペディア 「ノーサンバーランド」の意味・わかりやすい解説

ノーサンバーランド

英国,イングランド北東端の州,1974年の行政区画改編により同州の南東部はタイン・アンド・ウィア特別州として分離した。州都はモーペス。北はトウィード川,南はタイン川に囲まれ,西にチェビオット丘陵があり,東は北海に面する。南東部に炭田がある。ハドリアヌス帝の城壁をはじめローマ時代の遺跡が多く,中世以来スコットランドとの国境紛争が絶えなかった。西部高地では古くから牧羊が盛ん。5013km2。31万6028人(2011)。

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世界大百科事典(旧版)内のノーサンバーランドの言及

【ハンバー[川]】より

…イギリス,イングランド東部のハンバーサイド州を東流する川。ブリトン語で〈良い川〉を意味し,ノーサンバーランド(〈ハンバー川以北の土地〉の意)などの地名の語源にもなった。ハルの上流約24kmのトレント川とウーズ川の合流点から河口のスパーン岬まで,ハル川などの支流を合わせて巨大なエチスュアリー(三角江)を形成しながら北海へ注ぐ。…

※「ノーサンバーランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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