精選版 日本国語大辞典 「アスベスト」の意味・読み・例文・類語
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翻訳|asbestos
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不燃材として古くから利用されていた天然の無機繊維状鉱物の総称で,石綿(いしわた)/(せきめん)とも呼ぶ。蛇紋石族または角セン石族の鉱物のうち,繊維状にほぐすことのできるものをいい,蛇紋石族の一種であるクリソタイルchrysotileは温石綿(おんじやくめん)とも呼ばれる。クリソタイルの化学組成はMg6Si4O10(OH)8。その繊維はきわめて細い(径200~300Å)中空のパイプ状構造をもっており,柔軟で,綿糸と同様に織物を作ることができる。世界のアスベストの大部分はクリソタイルであり,蛇紋岩中に網状脈をなして産し,繊維は脈壁にほぼ垂直に並んでいる。主産地は,カナダ(ケベック),ロシア(ウラル),南アフリカ共和国,ジンバブウェ共和国。日本でも北海道で採掘されたことがある。角セン石族のアスベストには,直セン石,透セン石,アクチノセン石,リーベックセン石(青石綿)などに属するものがある。クリソタイルに比べて繊維はもろく,熱にもやや弱いが,耐酸性が優れている。南アフリカ共和国の青石綿がとくに著名である。
執筆者:白水 晴雄 アスベストは繊維でありながら不燃性で,古くローマ時代には珍重され織布が作られていた。平賀源内が作った火浣布(かかんふ)もこのアスベスト布である。現在では,繊維の形では防火幕,防火服などとして,ゴムあるいはレジンを結合剤とするものではブレーキライニングなどとして,セメントとの複合材では壁材,防火板,吸音板などとして,重要な工業製品となっている。アスベストの粉塵は珪肺の原因となるので,生産工程および使用に際しては,粉塵を出さないようにとくに注意が必要である。
執筆者:柳田 博明
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(畑明郎 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 / 2007年)
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「石綿」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…石綿肺ともいう。石綿(アスベスト)は繊維状のケイ酸塩鉱物の総称で,ひろく工業原料として利用されているが,近年,造船,建設,自動車ブレーキライニングなど石綿使用分野が急速に増加し,職業的にあるいは非職業的に,石綿曝露(ばくろ)の機会が増加してきている。石綿症は,呼吸細気管支炎と肺胞炎に始まり瀰漫(びまん)性の肺繊維症をきたし,また壁側胸膜の肥厚(胸膜プラークと呼ばれる)と石灰化を伴う病気である。…
※「アスベスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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