アトピー性皮膚炎(読み)アトピーセイヒフエン

デジタル大辞泉 「アトピー性皮膚炎」の意味・読み・例文・類語

アトピーせい‐ひふえん【アトピー性皮膚炎】

atopic dermatitisアトピー体質の人に生じる湿疹しっしん。乳児型は顔や頭に湿潤性の湿疹ができ、かゆい。小児型はひじ・ひざの屈側部に乾燥性の湿疹ができるもの、四肢の伸側部にできるものがあり、成人型ではさらに頸部けいぶひたい・まぶた・前胸部・手関節部などにもできる。

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精選版 日本国語大辞典 「アトピー性皮膚炎」の意味・読み・例文・類語

アトピーせい‐ひふえん【アトピー性皮膚炎】

  1. 〘 名詞 〙 ( アトピーは[英語] atopy ) 激しいかゆみを伴う湿疹が生じる皮膚疾患。気管支喘息(ぜんそく)、鼻炎などアレルギー性疾患を起こしやすい体質の遺伝的な素因によると考えられ、乳児型、小児型、成人型それぞれに発症の部位と症状が異なる。アトピー性湿疹

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食の医学館 「アトピー性皮膚炎」の解説

あとぴーせいひふえん【アトピー性皮膚炎】

《どんな病気か?》


〈アレルギーだけでなく皮膚の性質も大きく関係〉
 アトピー性皮膚炎は、強いかゆみをともなう湿疹(しっしん)をおもな病変とし、症状がよくなったり悪化したりをくり返す病気です。湿疹ができる場所に特徴があり、ひたい、目や口のまわり、耳たぶの下、首や手足の関節部などに現れます。
 アトピー性皮膚炎の子どもの多くは、体質的にアトピー素因をもっています。アトピー素因とは、本人に気管支(きかんし)ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎(けつまくえん)、アトピー性皮膚炎の既往歴があるか、または家族にそれらの病気にかかった人がいること、そしてアレルギー反応の元となるIgE(免疫グロブリンE)という抗体(こうたい)をつくりやすい素因をもっていることをいいます。
 つまりアレルギーを起こしやすい体質をもっているために、食べものやダニ、カビ、ホコリなどがアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす原因物質)となって症状を引き起こしてしまうことがあるわけです。
 ただし、アトピー性皮膚炎の原因はアレルギーだけでなく、皮膚の性質も大きく関係していることがわかっています。
 アトピー体質の子どもの皮膚は乾燥しやすく、刺激に弱い性質のため、汗をかいたり、皮膚を刺激する毛糸の衣類を着ると湿疹が悪化してしまうのです。
 またストレスによって、実際にはかゆくないのにかきむしり、湿疹を悪化させているケースもみられます。
 したがって、スキンケアとあわせて、心のケアもたいせつな要素になります。

《関連する食品》


〈ビタミンC、ナイアシン、IPAでかゆみを緩和する〉
○栄養成分としての働きから
 アトピー性皮膚炎は、強いかゆみをともなうことが特徴の1つです。
 たとえばアレルギーが原因となっている場合、かゆみは次のようなメカニズムで起こります。
 ダニやカビなどのアレルゲンが体内に入ってくると、IgE抗体がつくられ、肥満細胞というヒスタミンをはじめとするさまざまな体内物質を抱えた細胞と結合します。そして次に同じアレルゲンが侵入すると、IgE抗体がアレルゲンと接合し、それを合図に肥満細胞は抱えていたヒスタミンなどの物質を外にばらまきます。これらの体内物質により、アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症が引き起こされるのです。
 ビタミンCやナイアシンには、このヒスタミンの生成を抑える効果があり、かゆみや炎症の緩和に働きます(ただし、ナイアシンを多く含む肉類、魚類がアレルゲンとなることも多いので、その場合はサプリメントでとる方法もあります)。
 また、ビタミンCはストレスに対抗するホルモンの生成にもかかわっています。アトピー性皮膚炎の子どもは、かゆみで夜も眠れないなど、日常的にストレスにさらされており、それだけビタミンCも多く消費されてしまいます。ビタミンCを多く含むコマツナカリフラワーなどの野菜をしっかりとりたいものです。魚の脂(あぶら)に多く含まれるIPAにも、かゆみや炎症を鎮める働きがあります。魚がアレルゲンとなっている場合は、α(アルファ)リノレン酸を含む植物油(シソ油、エゴマ油など)をとると、体内でIPAにかわり、アレルギー症状を緩和します。なおかつ、リノール酸と異なり、アレルゲンにはなりません。
〈免疫機能を正しく調整するB6 、乳酸菌、DHA〉
 免疫機能を正常に保つうえで欠かせないのが、ビタミンB6や乳酸菌、DHAです。
 もともとビタミンB6は、皮膚炎を予防することから発見されたビタミンで、不足すると湿疹やじんま疹(しん)などができやすくなります。強い抗アレルギー作用があり、ビタミンB6をとることでアレルギー症状が改善されたという報告もあります。
 またビタミンB6は、ナイアシンの合成能力も高めてくれます。ビタミンB6を含むバナナやサツマイモなどで補給を心がけてください。
 一方、プレーンヨーグルトなどに含まれている乳酸菌は、アレルギーを引き起こすもととなるIgE抗体が体内でつくられるのを抑制して免疫機能を修正します。
 この効果を高めるためには、乳酸菌を毎日、習慣的に摂取することがポイントになります。なお、甘味料が入ったヨーグルトは、アレルギーを誘発する可能性があり、適しません。乳製品がアレルゲンとわかっている人も、当然ながら避けなければなりません。
 DHAは、α―リノレン酸を含む食品からとることができます。α―リノレン酸は体内でIPAにかわったのち、DHAに合成されます。
 最近、ベニバナ油などリノール酸を多く含む食品をとりすぎるとアレルギー症状が悪化することがわかってきました。これは、アレルギーの原因となるロイコトリエンという物質が肥満細胞から放出されるのをうながすためだと考えられています。したがって、リノール酸の多い油は避け、シソ油やアマニ油など、α―リノレン酸を多く含む油を使うといいとされています。
〈α―リノレン酸の油は加熱しないで使う〉
 α―リノレン酸を含んでいる油からDHA、IPAをとる場合には、揚げものや炒(いた)めものなどといった、加熱する料理で使うよりも、サラダドレッシングなどで利用したほうが有効に摂取することができます。というのもα―リノレン酸はとても酸化しやすいためです。
 保存の際も、冷暗所に置くようにしてください。
 また、α―リノレン酸もとりすぎには注意が必要です。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アトピー性皮膚炎」の意味・わかりやすい解説

アトピー性皮膚炎
あとぴーせいひふえん
atopic dermatitis

かゆみのある湿疹(しっしん)が慢性的に繰り返しおこる皮膚疾患。日本皮膚科学会および日本アレルギー学会が合同で作成している『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』(2018)では、「増悪と軽快を繰り返す瘙痒(そうよう)のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義されている(「アトピー素因」については後述)。

[高増哲也 2020年3月18日]

診断

診断は、(1)かゆみ、(2)特徴的皮疹(ひしん)と分布、(3)慢性・反復性経過(6か月以上、ただし乳児は2か月以上)の三つを満たすことで行われる。かゆみは、皮膚温の上昇や発汗、気持ちが落ち着かないとき、物事に集中していないときなどに増強しやすく、睡眠障害の原因となるなど、生活の質(quality of life:QOL)を損なう要因となる。

[高増哲也 2020年3月18日]

症状

症状の特徴として、湿疹は額、眼(め)の周囲、口の周囲、耳介周囲、首、四肢の関節部、体幹にみられやすいこと、しばしば左右対称に現れること、ドライスキンを伴いやすいことがあげられる。

 アトピー素因とは、アレルギー疾患(気管支喘息(ぜんそく)、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎)の家族歴・既往歴、またはアレルギー反応に関与している免疫グロブリンE(IgE)抗体を産生しやすい素因(体質)のことをさす。アトピー素因はアトピー性皮膚炎の病態にかかわりがあるが、診断の必須(ひっす)項目ではない。

[高増哲也 2020年3月18日]

治療

治療の基本は、(1)スキンケア、(2)薬物療法、(3)悪化因子対策である。

 スキンケアは、皮膚を清潔に保ち、かつ保湿された状態にすることである。清潔のためにはせっけんを十分に泡立てて用いること、皮膚のしわを伸ばして洗うこと、せっけん成分を十分に洗い流すことがポイントとなる。保湿が必要な場合には、入浴後速やかに保湿薬・保護薬などのスキンケア用品を塗布する。

 薬物療法では、皮膚におきている炎症を抑えることを目的として、ステロイドの外用薬または免疫抑制薬の外用薬を塗布する。適度な強度の薬剤を適量使用することで、十分な効果をあげることができる。なお薬物療法においては、症状の悪化時にのみ外用療法を行う(リアクティブ療法)よりも、症状の再燃を予防するために、症状が落ち着いているときにも間隔をあけて外用療法を行う「プロアクティブ療法」が勧められている。

 悪化因子対策は、「どういう状況でどの部位の症状が悪化するのか」といった事実の確認によって悪化因子をみつけ、それについての対策を行うものである。たとえば夏季に関節の屈曲部を中心に悪化がみられる場合は、汗が原因となっていると考えられるので、汗をかくたびにこまめにシャワーを浴びる。冬季に広範囲にドライスキンとなっている場合は、乾燥が原因となっていると考えられるので、入浴直後に保湿薬を塗布するなどの対策をとる。

 かゆいときにかくことは避けがたい。かかないようにと考えるよりも、適切な治療でかゆみが落ち着くように導くことが大事である。

[高増哲也 2020年3月18日]

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改訂新版 世界大百科事典 「アトピー性皮膚炎」の意味・わかりやすい解説

アトピー性皮膚炎 (アトピーせいひふえん)
atopic dermatitis

語源はギリシア語で〈奇妙な皮膚炎〉を意味する。1923年にA.F.コカが提唱した〈アトピー〉性の素因による皮膚炎という意味で名づけられた。典型的な経過をとる場合,まず乳児期に顔面,頭部にかゆみの強い赤い発疹が現れ,かきこわすと汁が出てくる。やがてこのかゆい発疹は全身の皮膚に広がり,悪化と改善の波をくりかえすようになる。改善したときには,皮膚には赤みはなくなり,梨の肌のようなぶつぶつが背や胸にみられる程度になる。これを〈アトピー皮膚〉という。小児期になると,ひじの内側,ひざの裏などにかゆみの強い米粒大の発疹が現れ,それが長年にわたり持続する。これを〈ベニエー痒疹(ようしん)prurigo Besnier〉という。

 小児期になると,気管支喘息(ぜんそく)や,喘息のように気管内が狭くなる傾向のある気管支炎(喘息様気管支炎)を合併することがまれでない。そのため,この病気は1928年ころにアトピー性皮膚炎と命名されるまでは,喘息湿疹asthma-eczemaとも呼ばれていた。

 治療を続けていると,大人になるまでに治癒してしまう症例もあるが,発疹が高度で頻繁に再発する場合は概して大人になっても治らないことが多い。そのような場合は,40~50歳代までかゆい赤い発疹(湿疹と称される)が全身処々にくりかえし生じてきて,かゆみに悩まされる。

アトピー性皮膚炎の原因は1980年代半ばまではまったくわからなかった。それまではふけのアレルギーであるとか,クロムや水銀,ニッケルなど金属のアレルギーでアトピー性皮膚炎様になることを仮性アトピー性皮膚炎pseudoatopic dermatitis(Shanon,1965)と称したことはあっても,真の原因は不明であった。1967年に石坂公成が血清中の抗体IgEを発見,次いでこれがアトピー性皮膚炎では1000単位以上,ときには数千単位から2万単位にも上昇することが判明した。そのIgEを上昇させている原因のアレルゲンを調べてみると,ダニ,家の中のごみ(ハウスダスト),カンジダやピチロスポルムのようなカビ,卵,牛乳,小麦,米,大豆のような食品,犬や猫のふけ,スギ花粉などに反応するIgEであることがわかった。乳児期には食品へのアレルギーが目だち,2歳を過ぎるとダニのアレルギーの出てくる傾向や,成人で重症だと概してIgEが高値で,1人でいろいろなアレルゲンに反応する傾向(多価アレルギー)が判明した。1990年ころ,さらに検査法が進歩して,強いアレルギーが正確に測定できるようになると,それまでの検査法ではわからなかった異常に強いダニ・アレルギーのあることが明らかになった。1990年中ごろに行われた厚生省の班研究では,このような人家にたくさんいて,刺さないが強いアレルギーをおこすヒョウダニDermatophagoidesがさらにⅣ型という遅くて強いアレルギーも起こし,患者宅のカーペットや畳,ふとん,ソファなどにこのダニが多くいて,ダニの多い環境を改善すると,80%以上の率でよく治ることが判明,主因はかなりわかってきたといえる。

軽症の場合は,ステロイド軟膏の外用,抗アレルギー剤の内服と,スキンケアといって,毎日入浴して清潔にし,保湿剤を塗って乾燥を防ぐ治療でよい。顔には長い間ステロイド軟膏を塗ってはいけないが,他の部位は塗ったほうがよい。悪化して重症化したらRASTやパッチテストで正確に原因アレルゲンを調べ,ダニが主因とわかったら,自宅のどこにダニがいるか(ダニ相)を検査で調べ,フローリングや防ダニ用品に置き換えて確実にダニを減らすと,よくなることが多い。
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内科学 第10版 「アトピー性皮膚炎」の解説

アトピー性皮膚炎(その他のアレルギー性疾患)

定義・概念
 アトピー性皮膚炎は,増悪・寛解を繰り返す,瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くはアトピー素因をもつ.アトピー素因とは,①家族歴・既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎,アトピー性皮膚炎のうちいずれか,あるいは複数の疾患)があること,または②IgE抗体を産生しやすい素因を指す(古江ら,2009).
病態
 アトピー性皮膚炎では水分保持能・バリア機能の低下,かゆみの閾値の低下,易感染性などの皮膚の機能異常が認められ,これにさまざまな発症・悪化因子が関与して,アレルギー性炎症が引き起こされると考えられている.発症・悪化因子としては食物,汗,乾燥,掻破,物理化学的刺激,ダニ,ほこり,細菌・真菌,ストレスなどがあげられる.なお,表皮の分化に関与し皮膚バリア機能に重要な役割を果たしている蛋白であるフィラグリンをコードする遺伝子が,アトピー性皮膚炎の疾患感受性遺伝子の1つであることが明らかとなった.
臨床症状
 皮疹は湿疹病変で,急性病変と慢性病変が混在する.皮疹は左右対側性に分布し,年齢によって好発部位に特徴がある.
1)乳児期(2歳未満):
アトピー性皮膚炎の症状の始まりは,被髪頭部と顔の紅斑と鱗屑で,丘疹・漿液性丘疹が混在することも多い.顔面の症状にやや遅れて頸部や腋窩に滲出性紅斑が生じ,さらに胸腹部・背部・四肢にも紅斑・丘疹が生じてくる.
2)幼小児期(2~12歳):
皮膚の乾燥傾向が強くなり,また瘙破により皮膚が厚くなり,苔癬化局面を形成するようになる.肘窩・膝窩などのいわゆる屈曲部に苔癬化局面や紅斑・丘疹を生じやすい.眼囲を掻破すると,眉毛の外側部が脱毛する(Hertoghe徴候).
3)思春期・成人期(13歳以上):
思春期以降の成人では,顔面・頸部・胸部・背部(図10-34-2)など上半身に皮疹が強い傾向がみられるようになる.また,皮疹が顔面から頸部に顕著である顔面型や,孤立性で瘙痒の強い丘疹が体幹・四肢に多発する痒疹型の患者は成人に特有であり,難治性になることもある.
診断・検査成績
 日本皮膚科学会の診断基準に基づき,①瘙痒,②特徴的皮疹と分布(皮疹は湿疹病変,左右対側性の分布,年齢による好発部位の特徴),③慢性・反復性経過(乳児では2カ月以上,その他では6カ月以上)の3基本項目を満たすものを,アトピー性皮膚炎と診断する.
 検査値ではIgE値の上昇や好酸球数の増加が患者の約80%に認められる.また乳児期には卵白やミルクなどに対する特異的IgE抗体が陽性となりやすいが,1歳以降になるとダニ抗原の陽性率が急増する.なお,血清TARC(thymus and activation-regulated chemo­kine)値は短期的な病勢をきわめて鋭敏に反映することが示された.
治療
 「発症・悪化因子の検索と対策」,「スキンケア」,「薬物療法」を適切に組み合わせて行う.本症では保湿薬によるスキンケアがきわめて大切である.
 薬物療法ではステロイド外用薬,タクロリムス外用薬,抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬が主要な治療薬である.ステロイド外用薬は強さにより5ランクに分かれており,皮疹の重症度に応じて使い分ける.タクロリムス外用薬は特に顔面や頚部の皮疹に有用である.なお,成人の重症・難治性患者に対する短期的な寛解導入療法として,シクロスポリンの内服が保険適用された.[佐伯秀久]
■文献
古江増隆,佐伯秀久,他:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン.日皮会誌,119: 1515-1534, 2009.

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百科事典マイペディア 「アトピー性皮膚炎」の意味・わかりやすい解説

アトピー性皮膚炎【アトピーせいひふえん】

ギリシア語で〈奇妙な皮膚炎〉を意味する。とくに乳幼児に多いアレルギー性,内因性の湿疹。症状は年齢とともに変化する。乳児期は顔面に始まり,次第に手足や体の中心部へと拡大し,激しいかゆみを伴う。原因や発症のメカニズムなど不明な点が多いが,家族歴・既往歴をみると,喘息(ぜんそく),アレルギー性鼻炎,花粉症などをもつことが多い。治療は対症療法で,皮疹の程度によって,ステロイド(副腎皮質ホルモン)軟膏,非ステロイド性消炎鎮痛剤含有軟膏,皮膚保護剤,保湿剤などをぬって抗ヒスタミン剤,抗アレルギー剤を内服する。また,日常生活において,アレルゲンとなっているものをさけることも必要である。→アレルギー性疾患
→関連項目アレルギー・マーチアレルゲンカポジー水痘様発疹金属アレルギーシックハウス症候群

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アトピー性皮膚炎」の意味・わかりやすい解説

アトピー性皮膚炎
アトピーせいひふえん
atopic dermatitis

一定の物質に対して,先天的に過敏なアトピー性体質の人にみられる皮膚炎。アトピー性体質の人は体外から進入する抗原 (アレルゲン) に対して過敏に反応し,特異的な抗体 (レアギン) をつくり出す。そうした素因のうえに慢性・反復的に生ずる,かゆみの強い,皮膚の湿疹性病変がアトピー性皮膚炎である。多くは生後2~6ヵ月頃の乳児期に発病し,症状は年齢とともに大きく変化していくので,別の病気のようにみえる。乳児期 (2歳まで) は主として顔,頭に急性に湿潤性の湿疹状病変ができ,それが次第に手足や体の中心部に拡大していく。幼児期 (2~12歳) は乳児期と次の成人期との中間または移行型といえる状態で,病変部の皮膚は乾燥してアトピー皮膚といわれる丘疹のできた状態になってくる。成人期に進むにつれて,主として肘や膝などの屈曲部に,丘疹が集って苔癬化という状態になり,皮膚はますます乾燥し肥厚してくる。いずれの段階でも激しいかゆみを訴える。普通,幼児期までに治癒することが多いが,成人にまで移行すると重症になる。治療はステロイド外用を中心にして,特定の食物を除去する食物制限などが行われることも多い。さらにダニ,ほこり,カビなどの発生を抑えるよう生活環境の整備も重要とされる。

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