翻訳|animatism
アニミズムが万物に宿り,しかも宿ったものから独立して存在しうる霊魂や精霊に関する観念・信念を意味するのにたいして,アニマティズムは万物を〈生きている〉ととらえる活力・生命力についての観念・信念を指す。プレアニミズム,マナイズム,バイタリズムとも呼ばれる。アニマティズム説を唱えたのはE.B.タイラーの弟子マレットR.R.Marettである。彼は活力・生命力の観念は霊魂や精霊の観念に,歴史的にも心理的にも先行すると考えた。物が生きているとの観念は,物に霊魂や精霊が宿るとの観念よりもより素朴であり,原初的であると彼は主張した。マレットは自説を裏づけるために,メラネシアやポリネシアの原住民がもつマナmanaの観念を引用した。マナは神秘力で,これが槍に含まれていれば,戦士は敵を倒せるし,ある人がマナをもてば,彼の豚が増えるとされる。アニミズムは物に宿る存在を強調したのにたいして,アニマティズムは物のもつ力・作用を重視したと言える。
→アニミズム →マナ
執筆者:佐々木 宏幹
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