アバス(Ferhat Abbas)(読み)あばす(英語表記)Ferhat Abbas

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アバス(Ferhat Abbas)
あばす
Ferhat Abbas
(1899―1985)

アルジェリアの政治家。独立および民族解放運動の指導者。コンスタンティーヌ県出身。1931年アルジェ大学薬学部卒業。この間、アルジェリア回教徒学生同盟の指導者として活躍。1938年アルジェリア人民同盟を結成。1946年アルジェリア宣言民主同盟を結成し、フランスとの協力による自治共和国の建設を主張。同年フランス国民議会議員に選出される。しかし1955年には、従来の穏健な自治共和国構想を捨てアルジェリア民族解放戦線FLN)に合流。1956年ベンベラらFLN首脳がフランス軍に逮捕されるとその後を継ぎ、1958年カイロでアルジェリア共和国臨時政府(GPRA)を樹立し、1961年8月まで初代首相を務めた。独立(1962年7月)後は初代国民議会議長に就任、1963年8月ベンベラと対立し自宅拘禁された。1965年ブーメディエンクーデターにより釈放され政界から引退。著書に『若きアルジェリア人』Le Jeune Algérien、『植民地の夜』La Nuit Colonialeがある。

[福田邦夫]

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