( 1 )フランスでは第一次大戦後、戦前の文化に対する青年の反逆が起こり、広がってこの語が一般的となった。
( 2 )日本では第二次大戦後の昭和二二年(一九四七)、「近代文学」に拠る青年作家が自らの小説双書にこの名称を冠したのが始まりで、野間宏や埴谷雄高ら戦後に出てきた新人作家たちを指した。その後、それまでの価値観と異なった行動をする若い人たちの意味に転じ、昭和二〇年代の数年間、盛んに使われた。
もともとは「戦後」の意で、アバンゲール(戦前)の対語。第一次世界大戦後のフランスのダダイズム、シュルレアリスムなど戦前文化に反抗する芸術活動をさした。日本では第二次世界大戦後、1946年(昭和21)に出版された野間宏(のまひろし)の『暗い絵』の帯に中村真一郎が「アプレゲール・クレアトリス」(創造的戦後派)と書いたことから、最初は既成の権威を否定して新しい価値を求める戦後文学活動をさしたが、やがて、戦前派の意表をつき、理解を絶する戦後世代の行動やものの考え方をさすことばに転化し、非難の意を込めて「アキレカエル」ともじられ、略して「アプレ」で通用した。1949~1950年に起こった闇(やみ)金融光クラブ事件、鉱工品貿易公団職員公金持ち逃げ事件、日大運転手オーミステーク事件、金閣寺放火事件などは、刹那(せつな)的、無軌道、無知、無責任といった点で、典型的なアプレ事件とされた。
[森脇逸男]
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