イタリア半島の背骨をなし、北はリグリアから南はカラブリアに至り、ほぼ北西から南東の方向に連なる山脈。尾根沿いの長さ約1350キロメートル。リグリアでは幅30~50キロメートルであるが、中央部では約140キロメートルにまで広がり、カラブリアではふたたび狭くなって20~30キロメートル以下となる。一般に北部アペニン山脈、中央アペニン山脈、南部アペニン山脈に区分される。
北部アペニン山脈は、アルプス山脈との接点をなすカディボーナ峠から、メタウロ川上流のボッカ・トラバリア峠までをいう。軟らかくてもろい岩石からなっているため、侵食による窪地(くぼち)が多く、斜面は地すべりしやすくなっている。チーザ峠で、さらに、リグリア・アペニン山脈とトスカナ‐エミリア・アペニン山脈の二つに分けられる。前者は、サボーナとラ・スペツィアの間をリグリア海に迫って東西に走る。後者は北西から南東に延び、テベレ川やアルノ川の水源を有する。北部アペニン山脈は、主峰としてチモーネ山(2163メートル)をもつが、概して2000メートルを超えることはまれである。
中央アペニン山脈は、ボッカ・トラバリア峠からアドリア海と平行して走り、ボッカ・ディ・フォルリ峠に至る。山脈はさらに、ウンブリア‐マルケ・アペニン山脈とアブルッツォ・アペニン山脈の二つに分かれる。比較的なだらかであった北部アペニン山脈と比べて、ここでは山脈中もっとも起伏に富んだ険しい地形がみられ、グラン・サッソ・ディタリア山塊中には、アペニン山脈最高峰のモンテ・コルノ山(2914メートル)がある。
南部アペニン山脈は、ボッカ・ディ・フォルリ峠からメッシーナ海峡までをさし、さらにカンパニア・アペニン山脈、ルカニア・アペニン山脈、カラブリア・アペニン山脈の三つに分けられる。険しい石灰岩の山塊、砂と粘土質の多い岩石でできた平坦(へいたん)地、深い河谷などによって、きわめて多様な相貌(そうぼう)をみせている。
アペニン山脈は、全体として鉱物資源に乏しく、伝統的な牧畜も衰退し、多くの地域で過疎化が著しく進んでいる。
[堺 憲一]
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