アリザリン(その他表記)alizarin

翻訳|alizarin

デジタル大辞泉 「アリザリン」の意味・読み・例文・類語

アリザリン(alizarin)

アカネ・西洋アカネの根から得られ、古代から知られていた紅色色素。水には溶けず、アルコールエーテルなどに溶ける。現在はアントラキノンから合成される。

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精選版 日本国語大辞典 「アリザリン」の意味・読み・例文・類語

アリザリン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] alizarin ) 植物色素の一つ。紅色の色素で、古代からエジプトペルシアなどで媒染染料として用いられた。アカネの根に含まれるが、人工的にも合成される。医薬品化粧品生体染色などに利用される。

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改訂新版 世界大百科事典 「アリザリン」の意味・わかりやすい解説

アリザリン
alizarin



1,2-ジヒドロキシアントラキノンをいう。天然染料あかね)の主成分で,1868年にK.グレーベ,K.T.リーバーマン,W.H.パーキンによって初めて人工的に合成された。かつては藍とともに重要な位置を占めていたが,現在ではほとんど使用されず,媒染系有機顔料としてマダーレーキ,およびアリザリンスルホン酸ナトリウムがpH指示薬,キレート滴定指示薬,吸着指示薬として少量使用されている。1,2位に2個のヒドロキシル基をもつため金属と錯塩をつくる性質を利用した,セルロース系繊維,羊毛などに染着する媒染染料である。金属の種類により発色が異なり,アルミニウムで赤,カルシウムで橙,クロムで橙赤,鉄では紫となる。アルミニウムとカルシウムを併用した錯塩染料はトルコ赤と称して歴史的に著名である。アリザリン系染料はまた,アルミニウム酸化皮膜用染料としてアルミニウムの陽極酸化皮膜の染色に用いられる。アントラキノン-2-スルホン酸のアルカリ融解で合成される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリザリン」の意味・わかりやすい解説

アリザリン
ありざりん
alizarin

布を堅牢(けんろう)で美しいトルコ赤に染めることのできる、アカネの根から得られる色素の主成分。世界最古の天然染料の一つである。日本でも洋茜(ようあかね)として用いられてきたが、今日では他の合成染料によって置き換えられている。化学構造は1,2-ジヒドロキシアントラキノンで、アントラキノン-2-スルホン酸ナトリウムを空気下で水酸化ナトリウムと溶融して合成される。絵の具のマダーmadderは、アリザリンのアルミニウム錯塩(キレート)である。

 ドイツのH・カロ、K・グレーベ、K・T・リーベルマン、イギリスのW・H・パーキンらによるアリザリンの化学合成(1868)は、広大な領域となったアントラキノン合成化学の端緒となった。

[飛田満彦]


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百科事典マイペディア 「アリザリン」の意味・わかりやすい解説

アリザリン

天然赤色染料茜(あかね)の色素成分。1,2−ジヒドロキシアントラキノン。茜は昔は藍(あい)と並ぶ重要な天然染料だったが,今はほとんど使われない。合成は1868年グレーベ,リーバーマン,パーキンが初めて成功。木綿や羊毛を赤色に染める媒染染料で,アルミニウムとカルシウムを用いた赤色はトルコ赤といって名高い。(図)
→関連項目カログレーベ染料工業リーバーマン

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化学辞典 第2版 「アリザリン」の解説

アリザリン
アリザリン
alizarine

1,2-dihydroxyanthraquinone.C14H8O4(240.22).C.I.58000,C.I.Mordant Red 11ともいう.アカネの根に配糖体として含まれている.アントラキノン-2-スルホン酸ナトリウムの酸化により,最初に合成された天然色素.橙黄色の板状または針状晶.融点290 ℃,沸点430 ℃.水に難溶,熱メタノール,エーテルに易溶,有機溶媒に可溶.アルカリ性で紫色,濃硫酸で赤褐色を呈する.硝酸酸化でフタル酸を,亜鉛末還元でアントラセンを生成する.媒染剤により種々の色に染色される.[CAS 72-48-0]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アリザリン」の意味・わかりやすい解説

アリザリン
alizarin

1,2-ジオキシアントラキノンのこと。古代から染料植物として知られていたセイヨウアカネの根から得られる赤色色素。 C.グレーベと C.リーベルマンによって天然色素としては最初に人工的に合成された (1868) 。現在はアントラセンから合成されている。融点 289~290℃。昇華性の赤色針状晶あるいは黄褐色粉末。水に溶けにくいが,アルカリに可溶。古くから媒染染料として用いられてきた。木綿はアルミニウム媒染により,いわゆるトルコ赤に染まる。絹や羊毛の染色にも利用され,媒染剤の違いにより異なった色に染まる。いずれも日光,洗濯に対する堅ろう度が大。金属酸化物と反応させると水に不溶で堅ろうなレーキを生じ,顔料としても利用される。

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栄養・生化学辞典 「アリザリン」の解説

アリザリン

 C14H8O4 (mw240.20).セイヨウアカネの根に含まれる配糖体のアグリコンで,赤色の色素.媒染染料として使われた化合物.

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世界大百科事典(旧版)内のアリザリンの言及

【アカネ(茜)】より

…変異に富む種で,日本から東南アジア,ヒマラヤにかけて広く分布する。ヨーロッパ産のセイヨウアカネ(ムツバアカネ)R.tinctorum L.(英名common madder)は葉が6枚輪生し,根はアリザリンalizarinを含み,アカネと同じように,染色に用いられた。【福岡 誠行】
[染色]
 アカネの根に含まれる赤色色素を熱水で抽出して得る染色(そめいろ)を茜という。…

【アカネ(茜)】より

…変異に富む種で,日本から東南アジア,ヒマラヤにかけて広く分布する。ヨーロッパ産のセイヨウアカネ(ムツバアカネ)R.tinctorum L.(英名common madder)は葉が6枚輪生し,根はアリザリンalizarinを含み,アカネと同じように,染色に用いられた。【福岡 誠行】
[染色]
 アカネの根に含まれる赤色色素を熱水で抽出して得る染色(そめいろ)を茜という。…

【グレーベ】より

…ドイツの化学者。染料アリザリン合成の成功により,天然染料から合成染料時代への橋わたしをした。フランクフルト・アム・マインに生まれる。…

【セイヨウアカネ(西洋茜)】より

…花は先端が5裂し直径5mmほど,おしべは5本である。根には配糖体の赤色色素アリザリンalizarinが存在する。深紅色で光沢があり,古来重要な染料であった。…

※「アリザリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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