食品のミネラル(無機質)について,カルシウムCa,カリウムK,ナトリウムNa,マグネシウムMg,鉄Feなどが,リンP,塩素Cl,硫黄Sなどに比べて多い食品をいう。食品を空気中で燃焼すると,糖質や脂質は二酸化炭素(炭酸ガス)と水になって消失し,ミネラルはタンパク質や脂質に含まれるものも含め,灰分として残る。食品のアルカリ度は,食品100gを燃焼して灰にし,その残った灰を一定の条件で溶解し,その水溶液のアルカリを中和するのに要する1規定の酸のcc数をもってあらわす。
アルカリ性食品には,野菜,果物,いも類,牛乳などがある。果物の酸味はクエン酸やリンゴ酸などによるもので,食品のときは青色リトマス試験紙を赤色に変化させて酸性を示すが,燃焼して灰にしたときには,カリウムが多く残るので,アルカリ性になる。
人間の血液やリンパ液などの体液は,アルカリ性食品,酸性食品の摂取のしかたによって,直ちにアルカリ性になったり,酸性になったりするわけではない。体液は,エネルギー代謝,心臓や神経の機能を円滑にするためにも,つねにpH7.3~7.5の弱アルカリ性に保たれている。体液をつねに弱アルカリ性に保つのは,おもに血液の緩衝作用と,肺と腎臓の働きによるものである。
酸性食品は,おもにエネルギーやタンパク質の補給源となる食品で,味覚的にもおいしく食べやすいものが多い。そのため,酸性食品中心の食事にかたよることは,栄養的バランスから考えて好ましくないといわれている。つまり,アルカリ性食品を摂取するようにといわれるのは,食物の偏食を防ぐ意味と,ビタミン,ミネラル類を摂取する意味からである。
執筆者:坂口 ちはる
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食品に含まれている無機質のうち、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどアルカリをつくるものが、リン、硫黄(いおう)、塩素など酸をつくるものよりも多い食品をいう。これに対して酸をつくる無機質の多いものを酸性食品という。測定法は、一定量の食品を焼いて得た灰分を水に溶かし、これを中和させるのに必要な酸の量をみるか、灰分中の元素分析を行い、両群の元素のミリグラム当量の差から算出する。一般に、カリウムやカルシウムの多い野菜、果実、海藻、キノコ、いもなどがこれに入る。体液が水素イオン濃度指数(pH)7.4に維持されていることから、アルカリ性食品が健康によいといわれたが、体の機能はつねに一定のアルカリ度を保っているので、摂取する食品によって影響は受けない。
[河野友美・山口米子]
『山口迪夫著、国民栄養振興会・日本栄養士会栄養指導研究所編『アルカリ性食品・酸性食品の誤り』(1987・第一出版)』
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