酸性食品(読み)サンセイショクヒン

デジタル大辞泉 「酸性食品」の意味・読み・例文・類語

さんせい‐しょくひん【酸性食品】

食品を燃焼して得た灰の成分中にりん硫黄塩素などの酸性を示す元素を多く含むもの。魚・肉・豆・穀類卵黄など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「酸性食品」の意味・読み・例文・類語

さんせい‐しょくひん【酸性食品】

  1. 〘 名詞 〙 食品が体内で消化吸収されたのち、酸性物質を生じて体液の酸性度を高める、穀類、豆類、肉や魚、卵などの食品をいう。⇔アルカリ性食品

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「酸性食品」の意味・わかりやすい解説

酸性食品 (さんせいしょくひん)

食品を燃焼して灰にした場合に,その灰の中にリンP,硫黄S,塩素Clなどの酸性を示すような元素を多く含む食品を酸性食品と呼んでいる。食品の酸度は,食品100gを燃焼して灰にし,その灰分一定の条件下で水に溶解し,水溶液中の酸を中和するのに要する1規定のアルカリのcc数をもって表している。魚や貝,肉などの動物性タンパク質は酸度が高い。これはタンパク質に硫黄を多く含むためである。豆類などのタンパク質は,リンを多く含んでいるので酸性食品である。鶏卵の卵黄はリン脂質リンタンパク質を多く含むので酸性である。一方,卵白はアルカリ性であるが,卵一個として考えた場合には,酸性食品になるという。

 酸性食品を摂取することは好ましくないなどとよくいわれるが,酸性食品をとったからといって,健康人であれば,体液が酸性になるなどということはない。体内の血液や組織液は,炭酸緩衝系の作用によって,pHはつねに一定に保たれている。弱アルカリ性であるはずの血液が酸性になる場合をアシドーシス酸血症)というが,このようなアシドーシスは,糖尿病や飢餓時にケトン体の生成される場合(代謝性アシドーシス)にみられ,また,呼吸促進の起こる場合(呼吸性アシドーシス)にもみられるが,食べ物によってpHが変動するようなことは観察されていない。一般に,酸性食品を多く摂取する傾向にあるので,注意することが望ましいなどといわれるが,これはまちがった考え方である。食品の酸性,アルカリ性を問題にするよりは,栄養素バランスを考えることのほうがたいせつである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「酸性食品」の意味・わかりやすい解説

酸性食品
さんせいしょくひん

食品の灰分中、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどのように、アルカリをつくる無機質よりも、リン、硫黄(いおう)、塩素などのように酸をつくる無機質の含量が多い食品をいう。逆にアルカリをつくる無機質のほうが多い食品をアルカリ性食品という。おもな食品としてリンや硫黄の多い穀類、肉類、魚類、卵、一部の豆類などが含まれる。酸性食品を多くとると体が酸性になるなどといわれたが、体液はつねに水素イオン濃度指数(pH)7.4の微アルカリ性を保つ機能が備わっている。したがって、このような食品の分類と健康を結び付けることは、不適当とされている。

[河野友美・山口米子]

『山口迪夫著、国民栄養振興会・日本栄養士会栄養指導研究所編『アルカリ性食品・酸性食品の誤り』(1987・第一出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「酸性食品」の意味・わかりやすい解説

酸性食品【さんせいしょくひん】

食品を燃焼して灰にしたとき,その灰分中にリン,硫黄,塩素などの酸性を示す元素を多く含む食品のこと。アルカリ性食品の対。穀類,肉類,魚類,卵,一部の豆類などがこれに属する。食品100gを燃焼して得る灰分を,一定の条件下で水に溶解し,水溶液中の酸を中和するのに要する1規定のアルカリのミリリットル数で表す。酸性食品を多く摂取すると体液が酸性になるから好ましくないなどとよくいわれるが,食品の酸性,アルカリ性によって体液の酸性,アルカリ性が左右されることはない。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「酸性食品」の意味・わかりやすい解説

酸性食品
さんせいしょくひん

食品中に含まれる無機質のうちで,リン,硫黄,塩素などが,ナトリウム,カリウム,カルシウムなどのようなアルカリ性になる元素よりより多く含まれている食品。したがって食味のすっぱい食品をいうのではない。一般に蛋白質の多い食品は酸性食品である。これは蛋白質中の含硫アミノ酸に含まれる硫黄が体内で酸化されて硫酸になるためである。また穀類もリンの量が多く,酸性食品である。食品の酸度を表わすには,食品 100gを焼いて得た灰分を中和するのに要する規定アルカリ溶液の cc数で示している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「酸性食品」の解説

酸性食品

 灰化したとき,灰が酸性を示す食品.アルカリ性食品の対語.ナトリウム,カリウム,カルシウムなどと比べてリン酸,硫酸,塩素などの多い食品.生理的には酸性食品とアルカリ性食品を区別する根拠はない.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android