コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

アルキロコス Archilochos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アルキロコス
Archilochos

前7世紀のギリシア詩人。前8世紀後半とする説もある。パロス島出身。貴族の父と女奴隷の母の私生児として出生,兵として各地を放浪。エウボイア島のレラントスの戦闘や,パロス人によるタソス島植民戦に参加,戦闘を主題にした多くの詩を作った。リュカンベスの娘ネオブレに恋したが報いられず,痛罵の詩によって父娘を自殺させたとか,対ナクソス戦に戦死したとか伝えられる。イアンボス詩を文学的に完成させたほか,多くの形式の詩を作り,激しい調子で経験を語り,貴族社会の因襲を批判,個人攻撃を行い,鋭い機知を愛し,また酒と愛を歌った。彼の詩は個人的な詩であると同時に,ともに戦いともに生きた人々に共通する普遍的感情の歌でもある。断片のみ現存

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディアの解説

アルキロコス

前8世紀後半から前7世紀前半のギリシアの詩人。パロス島の貴族の私生児として恵まれぬ失意の生涯を送り,傭(よう)兵となって戦死。特に彼の名を高めたのはイアンボス調の韻律の完成者としてであり,ローマホラティウスらに大きな影響を与えた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

アルキロコス【Archilochos】

前8世紀後半~前7世紀前半のギリシアの抒情詩人。生没年不詳。パピルス中に発見されたものを含めて,酒,恋,戦いなどを主題とする数多くの詩の断片が伝わり,イアンボス調の詩の完成者として知られる。エレゲイア調の詩では叙事詩言語も使うが,主としてイオニア方言を用いる。その他の詩形も用い,エポドスという形式では風刺的動物寓話も作った。彼は古代ギリシアではホメロスに対抗しうる詩人という高い評価を受け,事実,ローマの大詩人ホラティウスにも大きな影響を与えた。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

アルキロコス【Arkhilokhos】

前七世紀の古代ギリシャの抒情詩人。個人的な感情・体験を語った最初の詩人。戦・酒・恋などをテーマとする数多くの断片が現存。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アルキロコス
あるきろこす
Archilochos

生没年不詳。紀元前7世紀の前半から中期にかけて活躍したギリシアの叙情詩人。パロス島に生まれる。イアンボスその他の詩形を用いて身の回りのできごとを縦横に歌い上げ、ホメロスと並ぶ人気を得ていた。英雄叙事詩とは異なり、自己の日常を歌い、詩人としての自己を表現した最初の人と考えられている。その生涯については伝説めいたものが多く、不明な点が多い。一生を戦闘と不遇のうちに過ごしたようであり、タソス島の植民活動に参加している。皆既日食に触れた詩句が残っていて、これは前648年のパロス島での体験とみられている。詩集は『イアンボス』『エレゲイア』『神々の賛歌』の3巻にまとめられていたが、現在では断片しか残っていない。詩は自由闊達(かったつ)で、だれはばかることなく、日々の生活感情を取り上げ、とくに、怒り、嘲笑(ちょうしょう)、怨恨(えんこん)、呪詛(じゅそ)や恋を歌っている。リュカンベスの娘ネオブレと婚約していたが、破棄されたため、この一族を詩で誹謗(ひぼう)し、その結果娘たちが縊死(いし)したという話は有名である。また、戦場で盾を茂みのそばに置き去りにしたが、命だけは助かったことを堂々と歌っていることはよく知られているが、そこに、ホメロス的な価値観とは一線を画する新しい生き方がうかがわれる。[橋本隆夫]
『呉茂一著『ぎりしあの詩人たち』(1956・筑摩書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のアルキロコスの言及

【ギリシア文学】より

…初期のエレゲイア詩人たち(エレジー)の主題はいずれも,現実の社会と人間のあるべき姿に迫ろうとしている。スパルタのテュルタイオスTyrtaiosは内戦克服に向かう市民の勇気と正義心こそ新しい社会秩序の礎となるべきことを,パロスのアルキロコスは戦乱の悲哀を超克する果敢な心意気を歌う。彼はまたみずからの創始したイアンボス詩を風刺の武器として,何ものにも屈しない己の姿を映しだす。…

※「アルキロコス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

アルキロコスの関連キーワードメレアグロス(古代ギリシアの詩人)アリスタルコス[サモトラケの]イソップ物語ギリシア文学セモニデス

今日のキーワード

桃李もの言わざれども下自ら蹊を成す

《「史記」李将軍伝賛から》桃やすももは何も言わないが、花や実を慕って人が多く集まるので、その下には自然に道ができる。徳望のある人のもとへは人が自然に集まることのたとえ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android