アルス・アマトリア(英語表記)Ars amatoria

世界大百科事典 第2版の解説

ローマの詩人オウィディウスによって西暦元年ころ作られた作品で〈恋愛術〉を意味する。エレゲイア詩形による3巻,計2330行から成り立ち,最初の2巻は男性を対象として書かれ,その反響にこたえて第3巻が女性に向けて書かれた。恋人をいかにして手に入れるか,またいったんかなえられた恋を長く保つにはいかにすべきかを豊富な実例によって説いたもので,この作品はアウグストゥス帝の怒りを買い,オウィディウスの追放の原因の一つになったと考えられる。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のアルス・アマトリアの言及

【オウィディウス】より

…続く《名婦の書簡》は,神話の有名な女性たちの名による恋文で,修辞のみならず,優れた心理分析と性格描写の才を示した。恋愛詩の最後は,美顔術と化粧法を説く《女の顔の手入れについて》,恋人を獲得するための技法を教える《アルス・アマトリア》3巻,およびその逆の忠告をする《恋の治療法》の3編で,これらは教訓詩のパロディである。詩人は今や〈恋の教師〉となった。…

【ラテン文学】より

…彼は体験ではなく,知識と想像力と修辞によって恋愛詩を書いた。最初の《恋の歌》ではしきたりに従って自分の恋に見せかけているが,次の《名婦の書簡》では主体的恋愛詩をやめて,神話の女性の恋を歌うギリシアの客観的恋愛詩に戻り,《女の顔の手入れについて》《アルス・アマトリア》《恋の治療法》では皮肉な理論と教訓に転じ,ついには恋愛詩自体を放棄して,神話伝説を歌う叙事詩《転身物語》とローマの祭礼の縁起を歌う《祭暦》に没頭した。こうして彼はギリシア・ローマの恋愛詩の伝統を総括し,完成させ,それに終止符を打った。…

※「アルス・アマトリア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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